「オンラインデリバリー火鍋戦争」が再びヒートアップ

人民網日本語版 2020年10月21日11:18

寒くなり、また火鍋の季節がやってきた。例年のように友達を誘ってレストランに行くのとは違い、今年はますます多くの消費者が家でデリバリーを頼み心ゆくまで食事を楽しむスタイルを選んでいる。宅配サービスの閃送のデータによれば、9月には全国の火鍋の市内配達受注件数は1万3千件に達し、今年4月から現在までの間、北京市は6ヶ月連続で全国の火鍋注文件数のトップに立ったという。「北京日報」が伝えた。

火鍋のデリバリーに新しく巨大な市場が生まれた以外に、火鍋の売り上げも徐々に増えている。最近、阿里巴巴(アリババ)傘下の新小売プラットフォームの盒馬が「盒馬火鍋」を商標登録し、オリジナル火鍋の新小売事業に力を入れ始めた。顧客の8割以上は自宅への配達を選択し、火鍋は今や伝統的なレストランから新小売のレース場に足を踏み入れた。レストランで食べるのを中心とし、つきあいで食べる意味合いが強かった火鍋が、なぜ小売市場とデリバリー市場で大きなビジネスになったのだろうか。

「家で火鍋」のニーズが大幅増加

「2人分の牛肉油スープに、ハーフの牛肉、ラムロール、センマイ、エビ団子、野菜を何種類か頼んでも、割引きされるとたったの170元(1元は約15.8円)だった」。先週金曜日、北京市西城区に住むホワイトカラーの劉■(女へんに亭)さんは、仕事から帰るとルームメイトと一緒に海底撈のミニ火鍋をデリバリーで頼み、家でおいしい火鍋を味わった。劉さんは普段、外食では火鍋が一番多いが、新型コロナウイルス感染症の流行で、家で食べる回数がレストランで食べるより多くなった。「家でデリバリーを頼めば席が空くのを待たなくていいし、よりリラックスして食べられるし、値段もより安い」という。

感染症流行中の消費者のニーズに応えるため、デリバリーがたちまち火鍋レストランの好調な業務になった。海底撈の場合、上半期にサービススポットを93ヶ所増やしてデリバリーサービスを提供し、総売上に占めるデリバリー業務の割合も1.6%から4.2%に増え、売上高は4億元を超えた。消費者が自宅で「注文したらすぐに食べられる」ようにするため、デリバリープラットフォームでは食材やスープだけでなく、2種類のスープが楽しめる「鴛鴦鍋」や小型の電気鍋、さらにはコンロ、燃料、お玉、穴あきお玉なども売っている。重慶火鍋の井格も便利さと迅速さで多くのグルメたちを引きつけている。今年2月中旬に開始した火鍋デリバリーは、秋に入ってから売り上げがどんどん伸びている。関係責任者の説明では、「今年10月のデリバリー注文は前月比15%増加した。家で火鍋を食べたい人が増えたからだ」という。

閃送のデータでは、2019年から2020年の火鍋関連注文データのうち、20年9月の市内配達注文件数が最も多かった。9月以降は火鍋のシーズンで、市内の短時間配達業務もピーク期に入ったという。

新小売がオンライン火鍋市場を生み出した

盒馬がこのほど「盒馬火鍋」を商標登録し、オリジナル火鍋の開発を進めていることが話題になった。伝統的な外食企業と異なり、盒馬火鍋の重心はレストランでの飲食にはなく、家まで30分で届く火鍋デリバリーにある。

盒馬のアプリをみると、秋・冬シーズンのさまざまな火鍋商品がすでにアップしており、特色あるスープや具材が昨年よりもさらに豊富になった。2人前の火鍋セットの価格は100元ほどだ。

盒馬が提供したデータによると、今年の国慶節(建国記念日、10月1日)の連休期間に、盒馬火鍋は10万セット近くを販売した。19年の火鍋シーズン全体で、消費者の80%以上が自宅への配達を選んだ。盒馬の飲食品調達部門によると、盒馬は供給源から自社の火鍋食材の標準化された供給チェーンシステムを構築し、今年は全国で1千種類を超える火鍋食材のほとんどがアリババのデジタル農業拠点から供給され、高いコストパフォーマンスを実現した。

盒馬だけでなく、米ウォルマート系会員制スーパーのサムズ・クラブもセルフ火鍋セットをオンラインで売り出した。韓国風部隊火鍋約4人前セットは99元で、軟骨スープ、肉、野菜、ラーメンなどが入る。その微信(WeChat)の公式アカウントで作り方も紹介している。

人気が続く「一人前」ミニ火鍋

実は火鍋デリバリーは簡単なビジネスではない。15年にネットの火鍋デリバリーブランドがたくさん登場したが、当時の火鍋デリバリーは家族で食べる大容量が中心で、一人暮らしの人や家が狭い若い客層を取り込めなかった。こうして火鍋デリバリー市場は2年足らずで急速に縮小し、ほとんどのブランドは長く続かなかった。

そんな火鍋市場で生き残った淘汰郎は、ミニ火鍋戦略で多くの若いファンを獲得した。15年に他社に先駆けて99元のミニ火鍋セットを打ち出し、セットを購入すると鍋をプレゼントし、液体燃料もつけた。燃料1缶で1時間40分燃焼し、鍋は返却の必要がなく、非常に便利だった。

今年に入り、感染症対策のためレストランでの飲食や集会を控えるようにとの要請が出されると、これまではほぼ飽和状態だった火鍋市場に巨大な空白が生まれた。各ブランドは若い人に合った消費シーンを作り出そうと知恵を絞り始めた。そんな中、オーダーメイドスタイルの「一人前」火鍋は火鍋企業が若い消費層を取り込む「伝家の宝刀」になっている。しかし業界関係者は、「火鍋レストラン企業は今後は配達の標準化に向けて努力を重ねる必要がある」と指摘する。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年10月21日

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