「微笑むエンジェル」スナメリ数頭を長江で確認　進む保護活動

江蘇省南京市の長江大橋上流の川岸に近い位置に最近、数頭のスナメリが現れた。その撮影に成功した南京スナメリ保護ボランティア・武さんは、「スナメリを観察して13年になるが、今回は、長江大保護行動と、10年の禁漁が実施されて以降、一番たくさんのスナメリを観察できた。とても素晴らしいことだ」と語った。中央テレビニュースが報じた。

丸みを帯びた頭に、ポツンと黒い小さな瞳が特徴で、口をあけると笑ったような顔になる長江のスナメリは、見る人を癒してくれる大自然の「微笑むエンジェル」だ。

ただ、その「微笑むエンジェル」も、水域の汚染や砂の採取、採石、違法な漁などの影響を受けて、個体が減少している。2017年の長江スナメリ生態科学調査の結果によると、長江のスナメリの個体数は約1012頭と、パンダよりも絶滅の危険がずっと高くなっている。

個体数が激減しているのはスナメリだけではない。ここ数十年、長江の魚類も目に見えるほどのペースで減少している。

「長江の病気は深刻だ」。

ハシナガチョウザメ（学名：Psephurus gladius）/資料図

どうやって「治療」するか？

今年1月1日から、長江流域の水生生物保護区332ヶ所で全面的に禁漁となった。そして、来年1月1日からは、長江流域の「一江、二湖、七河」など重点水域で10年の禁漁が始まる。

関連の専門家の試算によると、長江の魚類の繁殖周期は約3年。10年の禁漁を実施すると、ほとんどの魚類は3世代の繁殖周期を経ることとなり、水生生物資源が数倍に増加すると期待されている。

中国最長の川である長江は、生物多様性が最も豊富な生態系を抱える川だ。以下の長江の珍しい動植物を、あなたは知っているだろうか？

シフゾウ（学名：Elaphurus davidianus）

頭はウマに、角はシカに、ひづめはウシに、尾はロバに似ているが、全体的にはどれにも似ていないため、中国では「四不像」と呼ばれるシフゾウは国家一級保護動物に指定されている。シフゾウの個体数は当初の94頭から、現在は1600頭余りまで増えている。

カラチョウザメ（学名：Acipenser sinensis）

約1億4000万年前に恐竜と地球上で共存していたといわれ、長江の形成と変遷を経験した「水中の生きた化石」と呼ばれている。中国国家一級重点野生保護動物に指定されている。

ヨウスコウアリゲーター（学名：Alligator sinensis）

中国長江流域の固有種で、爬虫類のヨウスコウアリゲーターには、2億3000万年の進化史があり、中国国家一級保護動物に指定されている。この希少種を守るために、安徽省や浙江省などにヨウスコウアリゲーターの自然保護区や人工繁殖場を設置している。

疏花水柏枝（学名：Myricaria laxiflora）

長江流域の四川、重慶、湖北などに分布している。湖北省武漢市の植物研究所が1984年に、三峡地区で発見し、疏花水柏枝と命名した。絶滅の危険が極度に高い野生植物だ。

イヌカラマツ（学名：Pseudolarix amabilis）

国家二級重点保護野生植物に指定されている各地のイヌカラマツは、気候の変化が原因で絶滅の危機に瀕しており、長江の下流に少数が残っているだけだ。

「保護の道」はまだ非常に長く、長江を守るための行動が続いている。（編集KN）

「人民網日本語版」2020年11月17日