史上初の無観客五輪 日本の損失はどれくらい?

人民網日本語版 2021年07月12日15:26

(資料写真)

日本・東京で行われる今回の五輪は、例年とは異なるものになる。中国新聞網が伝えた。

五輪の歴史を振り返ると、第一次世界大戦中のドイツでのベルリン五輪、第二次世界大戦中の東京五輪と英国でのロンドン五輪は、さまざな要因により開催が中止になったが、これまでに開催が延期された例はない。また戦争以外の要因で予定通り五輪が開催されなかったのもこれが初めてとなる。

2020年3月24日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は新型コロナウイルス感染症により開催を1年延期すると発表。これ以降、「再延期」や「中止」を懸念する声が時々聞こえるようになった。多くの国の選手が家から出られず、合同練習をすることもままならず、世界選手権に出場できず、ライバルたちの状態はわからず、試合の戦略を練ることもできず、選手としての黄金期が刻々と過ぎていくのをどうすることもできない状況に置かれていた。

今年6月23日、国際オリンピック委員会(IOC)はPR動画の中で、「世界が停滞して前に進まず、将来もはっきりと見通せない中、私たちは毅然として前に進んでいく。内心のためらいを直視し、歴史の挑戦を恐れない」として、「オリンピック旗の下、私たちはともに強くなる」と呼びかけた。当時誰もが予想しなかったのは、感染状況のリバウンドを受けて、東京五輪が観客を入れるかどうかの方針を再調整せざるを得なくなったことだ。

今年3月、主催者側は海外からの観客受け入れを見送ると決定し、6月下旬には、東京の感染状況が緩和される前提で競技会場ごとに1万人を上限として日本国内の観客を受け入れることを決定した。東京組織委は状況を視察して、「会場の収容人数の50%以内で最大5千人まで」と規定を変更し、5千人を上限としてチケットの抽選を行い、夜9時以降に開催される競技は無観客で開催するとした。しかし7月8日、首都圏では無観客開催が確定した。

東京五輪の2つの変数、すなわち1つは「開催するかどうか」、もう1つは「観客数を制限するかどうか」は、五輪が現地に及ぼす経済効果を大きく左右する。海外からの観客が「欠席」なら、日本にとっては大きな損失になる。5月末に日本の野村総合研究所の木内登英エコノミストは、東京五輪を中止した場合の経済損失を分析・計算した。それによると、海外からの観客受け入れを停止したことで1500億円の経済損失が生じるが、海外でキャンセルになったチケット60万枚を日本国内の観客に販売することは可能だった。しかし日本国内の観客を半分に制限すれば、経済損失は約734億円になり、無観客なら損失は約1468億円になると試算した。

無観客かどうかは、スポンサーの会場での広告投入計画に直接影響を与える。海外メディアの報道によると、キヤノン、東京海上日動火災保険を含むスポンサー企業10数社は主催者側の「一時的な決定」や「観客を入れるかどうか」の問題がいつまでも決着しないことに失望し、東京五輪関連の展示ブースやPR活動を中止したり縮小したりしている。

五輪との関わりが人々に嫌われるのではないかと懸念する企業もある。世論調査では、日本人の多くが五輪の開催に反対だ。またこうした企業は、各社の経営陣が五輪競技のテレビ中継に映れば、マイナスの宣伝効果になってしまうのではないかと懸念する。

米週刊誌「タイム」はかつて、2020年東京五輪は250億ドル(約2兆7535億円)の支出になると伝えていた。一方で、東京組織委の会計担当者の試算では、最終的な支出は予算の3倍を超える。これまでに投入された巨額の資金は、五輪で派生する観光収入や経済効果で回収するしかなく、それが出来なければ元手が無に帰してしまう。(編集KS)

「人民網日本語版」2021年7月12日

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