6月17日に有人宇宙船「神舟12号」の打ち上げが成功してから現在までで、宇宙飛行士の聶海勝氏、劉伯明氏、湯洪波氏の宇宙への「出張」はすでに2ヶ月にのぼる。宇宙遊泳、設備交換、実験・操作、日常的なフィットネス、荷物の真空収納、「宇宙の家」の飾り付け…構築されたばかりの宇宙ステーション内で、地上チームの念入りの準備と力強いサポートを受け、宇宙飛行士が充実で快適な宇宙生活を送っている。人民日報が伝えた。
■120種以上の食品で栄養バランスを維持
今回の神舟12号有人飛行任務は宇宙飛行士のため、主食、おかず、調味料、デザートを含む120種以上の宇宙食を準備した。毎回の飛行任務前に、宇宙飛行士のために念入りに調整する専門的な科学研究者がいる。鍵となるのは栄養バランスだ。宇宙ステーションの宇宙キッチン内には食品加熱装置が用意され、宇宙でもアツアツのご飯が食べられる。
神舟12号の飛行任務開始前、宇宙貨物船「天舟2号」が宇宙飛行士に先駆けて補給物資を運んできた。これには日常的な水使用に使える10数個の柔らかい水のうが含まれる。しかし今回の宇宙飛行士の宇宙滞在期間は3カ月に及ぶ。これほど長期間にわたり軌道上で大量の水を消耗する。上述したルートの他に水の回収と再生が必要になる。そのため宇宙ステーションは環境制御・生命維持システムを採用し、宇宙ステーションの物資の循環利用を極力可能にしている。同システムは水の循環再利用でも大きな役割を果たしている。このシステムにより、宇宙ステーション内で結露乾燥モジュールを使い宇宙飛行士が吐き出した水蒸気を集め、浄化装置により飲用可能な再生水にする。必要であれば尿も収集・処理し精製水にすることができる。
■宇宙でのトレーニング、強い骨を保ち筋力低下を防止
懸垂、エアロバイク、ランニング、ストレッチ…コアモジュールのトレーニングエリア内で、宇宙飛行士3人はトレッドミル、エアロバイク、ストレッチストラップなどのフィットネス器具を使いトレーニングを行う。宇宙飛行士全員に独自の運動プランがあり、宇宙での滞在期間が長くなるにつれ、彼らの毎日の運動強度がすでに個人の限界の6-8割に達している。
宇宙でのトレーニングは体を鍛えるためだけでなく、宇宙飛行士の命と健康に関わる。これは筋萎縮と骨粗鬆を防止する重要な手段だ。宇宙飛行士は毎日トレーニングをするが、その主な目的はダイエットではなく、無重力状態でも強い骨を保ち筋力低下を防止し、無重力効果に対抗し最良のコンディションを保つことだ。飛行時間が長くなるにつれ、無重力による生理的効果を和らげようと、宇宙飛行士3人は運動強度を徐々に上げてきた。
■リアルタイムで身体状況をチェック
宇宙での生活期間が長いと、宇宙病の症状が生じる可能性がある。宇宙飛行士3人の健康診断は重要な活動の一つだ。
宇宙ステーションのコアモジュールの「暗室」内で、湯氏は劉氏、聶氏の眼底検査を行った。宇宙における眼底検査は、宇宙飛行士の医療モニタリング・サポート活動の重要内容で、宇宙飛行士の身体状況のリアルタイムの追跡に役立つ。聶氏はさらに足をテストマシーンの中に入れ骨密度検査を行った。
実際に神舟12号の周回期間中、宇宙飛行士は健康状況をモニタリングするため定期的にセルフ健康診断を行う。検査キャビネット内には十数点の医療設備があり、宇宙飛行士は4-5週間置きに超音波検査と完全血球計算を含む定期的な健康診断を行う。宇宙飛行士にとって、採血、相互の心エコー、腹部エコー、超音波画像の評価など一般的な検査は朝飯前だ。
■家族と通話し五輪を観戦、複数の方法でリラックス
宇宙ステーションの天和コアモジュールに入ると、宇宙飛行士らはすぐに宇宙ステーション内のWi-Fi設備を組み立て、中国の宇宙ステーションに「モバイルWi-Fi」を持たせ、スマートな生活空間も作った。宇宙ステーション内には十数台の有線・無線ネットワークビデオカメラ、有線・ブルートゥースイヤホン、携帯電話、タブレットPC、ノートPCなどがあり、ネットワーク端末としてネットワークに接続できる。中継衛星とコアモジュールの中継アンテナにより、宇宙と地上のネットワークが一体になり、宇宙飛行士は地上のスタッフや家族と意思疎通し、動画通話を利用できる。宇宙飛行士はこのほどさらに東京五輪の卓球や飛び込みなどの動画を視聴した。これらの動画は地上の制御センターが録画してから宇宙ステーションにアップしたものだ。
同時に宇宙ステーション内には宇宙飛行士のためにレジャー・娯楽の施設が配備されている。彼らは空き時間を利用し映画や音楽の観賞、読書ができる。また宇宙ステーション内にはメンタルケアの効果があるプロジェクター、ハーモニカ、笛など個人の娯楽用品もある。これを踏まえた上で、技術者は仮想現実(VR)技術に基づくストレス解消システムを開発した。宇宙飛行士はその中で家族、見慣れた地上の生活シーン、地球の自然景観などを見ることができる。プライベートな音声ルートにより、宇宙飛行士は家族と電話で「ひそひそ話」をし、宇宙生活を共有しリラックスできる。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年8月20日