浙江省紹興市で9月24日に行われた「2021大師対話--故郷対話大会」で、中日韓3ヶ国の魯迅文学を研究する学者が魯迅の作品「故郷」をめぐって討論した。中国新聞網が伝えた。
研究の成果を披露する中国人学者(撮影・呉玉奇)。
今年は魯迅生誕140周年にあたり、魯迅の作品「故郷」発表100周年でもある。「故郷」は1921年に執筆された作品で、魯迅が最後に故郷の紹興に帰った際の実際の経験を下敷きにして創作され、心中に抱く郷愁と悲しみ、希望が余すことなく描かれており、その行間からは民族の覚醒と解放、復興のために生涯奮闘するという魯迅の意志もはっきりと感じ取れる。
「思うに希望とは、もともとあるものとも言えぬし、ないものとも言えない。それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。「故郷」の最後に記された道に関するこの言葉は、中国と日本、そして韓国で大きな反響を呼んだ。
これに関して、中国魯迅研究会の董炳月会長は中日韓3ヶ国の学者が魯迅に興味を抱く原因を「共感によるもの」と分析。さらに、「根本的な原因はその背後にある大きな社会的背景にある。そうであるからこそ、日本と韓国の教育家は魯迅の『故郷』を中学校の教科書に収録し、『心の故郷』を探すという点で魯迅に共感してもらうことを狙っている」とした。
研究の成果を披露する日本人学者(撮影・談玉坤)。
実際、日本の著名な学者である藤井省三氏は魯迅の「故郷」が日本で広まった過程を整理し、「1953年以降に義務教育を受けた日本人であれば、誰もが魯迅の『故郷』を読んだことがある。作品の中の失望や挫折、希望という構造は、多くの進歩的な日本人にポジティブな力を与えた」と指摘している。
また、韓国外国語大学の朴宰雨教授は、「韓国の教科書に収録された中国人作家のうち、魯迅の作品が最も多い」とした。
研究の成果を披露する韓国人学者(撮影・談玉坤)。
作品に出てくる「道」や「希望」に対する思考によって、魯迅の文学と思想は日本に植民統治された苦難の歴史を持つ韓国人に深く影響を与え、魯迅の思想に対する韓国人の強い共感を呼ぶことになった。(編集AK)
「人民網日本語版」2021年9月26日