アリババやバイトダンスなどのネット大手も、川上のチップ産業へ触手を伸ばすようになった。今年10月19日には、アリババ傘下の半導体企業の平頭哥が杭州・雲棲会議2021(APSARAカンファレンス2021)で、独自開発のクラウド用チップ「倚天710」を発表した。アリババによると、このチップは業界で最強の性能を誇るARMベースのサーバ向けチップで、性能は業界基準を20%上回り、エネルギー効率は50%以上アップした。しかし阿里雲(アリババクラウド)のインテリジェントビジネスグループの張建鋒総裁(達摩院院長)によると、「倚天710のチップは販売せず、主にアリクラウドでの自社使用に当てる」という。
産業のトレンドが大手に自社開発チップを迫る
AIベンチャー企業に投資する人の話によると、「BATがこぞってチップ開発に参入したのは、市場のトレンドに順応したからだが、より的確な言い方をすれば、産業のトレンドが大手に自社チップの開発の流れに乗るよう迫ったからだ。ネットテクノロジー企業にとって、ソフトはエンジンに過ぎず、技術を取り囲む堀を発展させたいなら、チップの設計・開発という鍵となる部分の短所を補わなければならない。クラウドコンピューティング業界の発展に伴って、ソフトとハードの一体化トレンドがますます明らかになっており、ソフトがハードを決定づける流れを止めることはできない」という。
AIチップ企業のカンブリコンも年次報告の中で、大手がなぜそろってチップ開発に乗り出すのかについて、「現在のディープラーニングを代表とするAI技術は日常生活と伝統産業における普及応用が進み、基層のチップ計算能力へのニーズが飛躍的に増大し、成長率はムーアの法則の速度を大幅に上回る。AI計算能力には大規模な演算量、高い並行性、頻繁なアクセスという特徴があり、演算処理装置のCPUとGPUなどに用いられる従来型チップに比べ、汎用型スマートチップはAIアルゴリズムの鍵となる演算操作によりよく対応しこれを支援するものとなり、性能とエネルギー効率において明らかに優位性を持つものとなる」という側面から回答した。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年11月5日