チップは今や大手インターネット企業が業界の枠を超え、こぞって参入する競争の先端分野になりつつある。今月3日には、騰訊(テンセント)が初めて自社開発の、人工知能(AI)における計算、動画処理、高性能のネットワークに向けた3種類のチップを公開した。同社の湯道生・シニア執行副総裁は、「チップはハードウェアの最も核心的な部分であり、インダストリアル・インターネットの最も核心的なインフラでもある。当社はこれからずっとチップを積極的に探求し、長期的な投資も行う」と述べた。
今回のテンセントの自社開発チップ参入の発表前に、百度(バイドゥ)と阿里巴巴(アリババ)も自社開発チップの競争に乗り出し、字節跳動(バイトダンス)もチップ業務をひっそりとスタートさせている。ネット大手が相次いで自社チップの開発に乗り出すのはなぜか。業界の専門家によると、「ソフトウェアとハードウェアの一体化の流れがますます明確になるのに伴って、基層のチップの計算能力に対する産業界のニーズが勢いよく上昇しているからだ」という。
テンセントが3種の独自チップを初公開
テンセントは3日に行われた「テンセントデジタルエコシステムサミット2021」で、チップの進展状況を初めて明らかにした。3種類の独自開発のチップは、AIによる推理に用いられるチップ「紫霄」、動画のデコードに用いられるチップ「滄海」、スマートNIC(ネットワーク・インターフェース・カード)に用いられるチップ「玄霊」。このほかクラウドネイティブシステムに用いられる「遨馳」も発表された。
テンセントはなぜ自社チップの開発に乗り出すのか。騰訊雲(テンセントクラウド)の邱躍鵬総裁は、「テンセントクラウドは大規模な計算能力、リアルタイム分析、究極伝送の3つの方向へと向上し、技術の基礎を絶えず突き固めている。一方で、チップはインダストリアル・インターネットの最も核心的なインフラだ。AIにおける計算、動画処理、高性能のネットワークという大きなニーズのあるシーンに向けて、テンセントはチップの研究開発に取り組んだ」と明かした。
ネット大手がチップ競争に続々参入
バイドゥとアリババはテンセントとともにBATと並び称されるが、自社開発チップの競争ではテンセントよりも動きが速かった。18年7月、バイドゥはAI開発者会議において、独自開発で中国初のクラウド上で用いられる汎用型AIチップ「崑崙」を発表し、その中にはトレーニング用チップの「崑崙818-300-300」と推理用チップの「崑崙818-100」が含まれていた。