青島大学が11月29日に明らかにしたところによると、同大の材料科学・工学院は、複合材料・工学専攻2018年度学部生の斉広雨氏を筆頭著者、解培濤准教授を連絡著者、劉春朝教授を共同連絡著者とする学術誌「Advanced Composites and Hybrid Materials」に掲載した論文の中で、多孔構造を持つトウモロコシの茎を原材料とし、シンプルなバイオマス変換法により超軽量のナノ吸収材料「Fe3C@Fe/C」を作成したと報告した。同材料は超薄型(1.13ミリメートル)で優れた吸収性能を実現した。科技日報が伝えた。
周知の通り、各種電子設備の使用は人々の生活の利便性を高めてくれると同時に大量の電磁波汚染をもたらし人々の健康と情報の安全に影響を及ぼしている。これに対する効果的な手段は、電磁波吸収材料を発展させることだ。しかし現段階において、多くの電磁波吸収材料は吸収の帯域幅が狭く、製造プロセスが複雑といった問題がある。
材料に高い吸収性を持たせようとするならば、多レベル多孔のマイクロ構造が必要だ。斉氏は実家で焚火をする時に偶然、薪よりも作物の茎の方が燃えやすいことに気づいた。そして完全に燃え尽きていない茎がすかすかした木炭状になるのを目にし、トウモロコシの茎が優れた多孔構造を持つのではと推測した。
しかしその後の実験において、トウモロコシの茎のどの部分を前駆体としても、炭化の温度をどのように調整しても、最終的に得られる材料の吸収性は理想的ではなかった。斉氏は多くの文献に当たり、その原因を突き止めた。天然の植物もしくはその形態遺伝材料は往々にして電気応答しか持たず、磁気応答が弱いか実現しにくいため、理想的な電磁マッチングが得られなかった。斉氏は実験プランを調整し、トウモロコシの茎の多孔構造をテンプレートに、磁性金属ナノ粒子を加え性質を変えることにした。
チームはこのアプローチに基づき、金属塩水浸漬・炭素還元法というバイオマス変換技術により、ナノ複合吸収材料「Fe3C@Fe/C」を作成した。解氏は、「茎で作ったナノ吸収材料は厚さ1.13ミリメートルという超薄い状態であれば優れた吸収性を実現でき、有効吸収帯域は5.1GHzにのぼった。このナノ複合材料は優れたインピーダンス整合と高い減衰特性を持ち、優れた吸収性を実現できた。これは主に多孔微細構造の多レベル界面の誘電損失と鉄ナノ粒子の磁気ヒステリシス損失の相乗効果によるものだ」と説明した。
解氏は、「チームが使った金属塩水浸漬・炭素還元法はシンプルかつ低コストだけでなく、量産も可能だ。作成される材料は吸収性が安定している。さらに農業の廃棄物の利用効率を高め、作物の茎の燃焼による環境汚染を減らせる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年12月3日