カーバイド炉に入る前駆体の繊維をつなげる中復神鷹西寧公司の従業員。 撮影・何英力
A4紙よりやや厚めの0.12ミリメートルの超薄型ガラスは、優れた柔軟性により360度の湾曲を実現できる。直径が髪の毛のわずか10分の1の高性能炭素繊維の強度は鋼の7-10倍にのぼる。目立たない黒の窒化ケイ素セラミックベアリングボールは、毎分60万回の摩擦と摂氏1000度に上る高温に耐えられる…。これらの「体」は小さいが大きな役割を持つ新材料こそ、今年に入り中国市場で販売が急増しているミドル・ハイエンド製品だ。人民日報が伝えた。
データによると、中国の新材料産業の生産高は2011年の8000億元(1元は約17.6円)から19年の4兆5000億元に増加し、年平均成長率は20%を超えた。25年には10兆元にのぼる見通し。産業の高成長の裏には、どんな要因が働いているのか。産業チェーン川上・川下企業及び業界の専門家を取材した。
総生産能力は2万5000トン!中国初の1万トン炭素繊維生産拠点が9月8日、青海省西寧市で稼働開始した。炭素繊維は高温、摩擦、腐食に強いといった長所を持ち、航空・宇宙、風力発電などの戦略的新興産業に活用でき、「材料の黒い金」と呼ばれる。
中復神鷹西寧公司の連峰常務副社長は、「原材料から製品出荷までの生産ラインは約1キロメートルで、3000以上の工程パラメータが含まれ、難易度が非常に高い。プロジェクトの稼働開始により、1本あたり年産3000トンの高性能炭素繊維生産ラインの設計と先端フルセット技術の制御可能性が実現された。今年の炭素繊維の受注量は昨年の3倍にのぼる見込みだ」と説明した。
中国の炭素繊維の需要は、14年以降に毎年平均13%以上の成長率で安定的に増加している。20年の炭素繊維の需要は4万8900トンにのぼり、国産炭素繊維の供給量は1万8500トンだった。海外の供給不安定が加わり、炭素繊維の供給が需要に追いついていない。
炭素繊維産業の発展は、中国の新材料産業の力強い発展の縮図だ。中国建材集団の周育先会長は、「当社の新材料事業は今年に入りペースアップし、業績を支える力が上がり続けている。売上高は昨年末の19%から今年上半期の23%、純利益は36%から41%に上がった。世界最大の総合的建材産業グループ、世界トップレベルの新材料開発業者としての当社は、第14次五カ年計画が始まってからハイテク産業が成長を続け、新材料の需要増をけん引している。新材料がアップグレードを続け、より多くの産業の応用を生み出してきたことを強く実感している」と述べた。
需要が供給をけん引し、産業の高度化をもたらしている。「今年はフル稼働で生産したものはすべて売り切れた」。洛陽ガラス股份有限公司が生産するウルトラホワイト圧延太陽光発電ガラスは、太陽光モジュールの発電効率を大きく左右するものだ。同社の章榕副社長は、「製品が売れているのは、当社が二酸化炭素排出量ピークアウト・カーボンニュートラルの目標が太陽光発電業界にもたらす発展のチャンスをつかみ、川下の取引先の需要に基づき的を絞り開発・生産しているからだ」と分析した。
供給が需要を生み、消費の空間を開拓する。リチウム電池用セパレータは新エネルギー電池生産のカギを握る材料だ。リチウム電池用セパレータの高エネルギー密度、長寿命、高安全性という技術発展のトレンドに的を絞り、中材科技はコーティング配合と製法を改良し、リチウム電池の耐熱性や安全性などの指標をさらに高めた。中材科技の薛忠民会長は、「新技術が国内外の市場から認められた。セパレータの生産・販売量が前年同期比で大幅に増えている。新材料はリチウム電池産業の競争の場を広げるのに役立つ。リチウム電池の需要は25年に2140GWを超え、セパレータの需要を256億平方メートル超増やす見込みだ」と述べた。
周氏は、「第14次五カ年計画期間中(2021-25年)、当社は引き続きハイエンド化、量産化、グローバル化に向けて前進する。重要材料分野のネックとなっている技術の研究開発を急ぎ、中国の産業チェーン・サプライチェーンの制御可能性をサポートする」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年10月14日