新型コロナウイルス感染症が発生してから、世界各国では、学校や工場の閉鎖から交通封鎖、公共イベントの中止といった一連の感染対策を実施してきた。こうした厳しい対策は必要なのだろうか。その中でどのような対策がより効果的なのだろうか。科技日報が伝えた。
中国工程院の鍾南山院士のチームと騰訊 (テンセント)がこのほど共同発表した最新の研究成果によって、これらの問題により確かな答えが示された。この研究成果はこのほど、国際的な医学誌「Value in Health」に掲載された。
研究チームはビッグデータとAI(人工知能)技術を利用し、感染拡大の第1波(2020年上半期)における世界145カ国・地域の8件の主な感染対策データを分析し、新しい反事実モデルを構築した。そして、感染拡大に影響を及ぼす各種の要素を最大限に取り除き、異なる対策の実施後の感染拡大への抑制効果を正確に計算した。
同研究によると、対策を開始すると7日から14日後には、ウイルスの感染力を示す実効再生産数(Rt)が急激に低下していた。なかでも公共イベントの中止と学校の閉鎖、職場の閉鎖という3つの対策の効果が最も顕著だった。よりスピーディでより正確な対策を実施してはじめて、新型コロナウイルスの感染を効果的に防止できることが研究によって明らかになった。
同研究はさらに、「感染拡大早期(緩慢な拡大の時期)により厳しく、より持続的な感染対策を実施するほど、最終的な感染者が減少する。しかし感染拡大の中・後期(急激な拡大の時期)に対策を講じれば、その結果は正反対になる。つまりより厳しく、より持続的な感染対策を実施するほど、最終的な感染者が逆に増加するということだ」と指摘した。
論文の筆頭著者である孫継超博士は、「これは感染対策の効果が失われたからではなく、逆の因果関係だ。感染者が急増する時期になってから厳しい対策を練り始めても効果は微々たるものだ。これはすでにタイミングを逸したことを意味する。感染の兆しが見えた時に速やかに行動してはじめて最大の効果を発揮できる」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年12月21日