「長征8号」は新世代の中型キャリアロケットとして、複数の軌道・高度での打ち上げニーズに応えるものだが、そもそも太陽同期軌道(SSO)に着目した打ち上げ任務を主な目標としたロケットが、なぜこのような軌道での打ち上げを目標とするのか。発展の見通しはどうだろうか。中央テレビニュースが伝えた。
太陽同期軌道とは、地球からの高度約500-1000キロメートルの円軌道で、この軌道を運行する衛星は、太陽と同じように毎日同じ時間に同じ地点の上空を通過するため、気象衛星や地球支援衛星などでは一般的にこの軌道が選ばれる。
キャリアロケット「長征8号」は太陽同期軌道での3.5トンから5トンの打ち上げ能力を利用し、現在の衛星市場のニーズにとりわけ合致しており、1ロケット・1衛星や1ロケット・複数衛星のスタイルでの打ち上げが可能だ。これから徐々に中国の中・低軌道ロケットの中心になり、低軌道での衛星インターネットシステム構築などの打ち上げ任務を引き受けるようになるだろう。
現在、中国内外の商用衛星市場が急速に発展しており、特に太陽同期軌道にネットワークシステム構築のための衛星を大量に打ち上げる必要がある。例えば低軌道のリモートセンシング光学衛星、測位衛星、ブロードバンドインターネットの衛星などは、世界中をカバーしなければならず、少なくとも10基、多ければ数百基を打ち上げる必要がある。そのため将来は「長征8号」の打ち上げニーズが極めて大きなものになる。
新配置での初打ち上げ 積載能力を相互補完
「長征8号」シリーズは中国で現在、最も「若い」新世代キャリアロケットでもあり、ブースターありの配置とブースターなしの配置があり、今回打ち上げられる「長征8号遙2」はブースターなし配置の初の打ち上げとなる。では、さきに初打ち上げに成功した「長征8号」とどこが違うのか。
今回打ち上げられる「長征8号遙2」を「長征8号」と比較すると、最もわかりやすい違いはロケット本体を取り囲むように配置された2つのブースターがなくなり、ロケットが「1本の棒」のようになったことだ。研究開発者がわずか1年でこの新配置ロケットの打ち上げ条件をクリアしたことは、ロケットに採用された「モジュール化」設計アプローチによるもので、稼働中の衛星の関連製品・技術を十分に継承しながら、スピーディな集積と研究開発を実現した。
外見の違いだけでなく、この2つのロケットは積載能力でも相互補完を実現した。既存の「長征8号」は4.5トンの宇宙機の打ち上げニーズに応えるもので、新配置の「長征8号遙2」は3トン以下のニーズに応えるものとなる。
中国航天科技集団公司第一研究院の長征8号キャリアロケットサブチーフデザイナーの呉義田さんは、「(「長征8号遙2」は)高度700キロメートルの太陽同期軌道の積載量3トンレベルを達成しており、現在の市場で緊急のニーズがある中低軌道に向けた主力のロケット配置になる。このような軌道を運行するのは主に一部の地球観測衛星だ」という。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年2月28日