2022北京冬季五輪

「職場のコンフォートゾーン」を出た若者は後悔したか?

人民網日本語版 2022年02月28日14:37

「コンフォートゾーン(快適な空間)」と言えば、一般的には人間の表面に現れる快適さを感じる心理状態や習慣的な行動様式を指す。だが職場ではこの言葉がもつ意味は人によって異なる。やっと手に入れたた理想的な仕事の状態や心のバランスだと考える人もいれば、一種の束縛であり、なんとかして抜け出して離れるべきところと考える人もいる。それでは「コンフォートゾーン」を出た若者は、その後どんな経過をたどっただろうか。「中国青年報」が伝えた。

「コンフォートゾーン」は悪い意味ではなく、一種の「コントロール感」

「2019年から、毎日がよりすばらしくなった」。29歳の誕生日に、若思さんはSNSにこんなメッセージを発信した。この年に年俸100万元(1元は約18.3円)の仕事を辞めて、自分にとって意義があると思う事業を始めた。「お金と仕事のポジション以外にも追求したいものがたくさんある。手芸作品のデザインが好きで、友だちの相談に乗るのも好きなので、いろんなキラキラした小さな夢を追いかけることにした」という。

若思さんとは異なり、「95後(1995年から1999年生まれ)」の薇薇さんがコンフォートゾーンを飛び出した原因は、毎日同じ仕事の繰り返しにうんざりしたからではない。クリエイティブ企業に就職し、販売PRを任され、上司にはポテンシャルを評価され、市場部門に移動した後はブランドの責任者になった。会社の中で「方向転換」をした後も、2年にわたり順風満帆の日々が続いた。

昨年には同僚たちなら喉から手が出るほど欲しがる昇進の機会に手が届きかけたが、薇薇さんは友人に誘われ、会社を辞めて起業することにした。

同僚たちは「コンフォートゾーンを飛び出した、ものすごく勇気がある」と薇薇さんの行動にしきりに感嘆したが、当の薇薇さんは「まだ本当にコンフォートゾーンを離れたわけではない。方向転換を選ぶにしろ新しいことを始めるにしろ、人から見れば大胆に見える変化の一つ一つは、どれも自分で検討、観察、総括、勉強し、人に教えを請い、準備した上で手に入れることのできた結果だからだ」と話す。

北京大学で精神衛生を研究する博士の汪氷さんによると、「成功学」を語り人を奮い立たせる多くの文章は、「コンフォートゾーン」を「惰性のゾーン」や「ゆでガエル」といった消極的な概念と結びつけるが、実際には、「コンフォートゾーン」に悪い意味はなく、不安が少なくストレスが弱い状況の中で、人が自分の行うことに対して十分な「コントロール感」を持てる状態を表しているという。

新分野に挑戦して「ガツンとやられたら」どうすればいい?

「コンフォートゾーン」を飛び出し、新しい分野に挑戦して、「ガツンとやられて」頭を抱えることになったらどうすればいいか。

汪さんは、「職場の『快適感』について考える時は、まず自分に挑戦できるだけの能力があるかを考えなければならない——自分の能力は挑戦に立ち向かうのに十分かどうか、今の環境の中で錯覚しているだけではないかを考えるべきだ」と指摘した。

汪さんは、「もしも『快適ではない』ことを失敗ととらえるなら、今の職場にいる選択をしたことを徹底的な挫折だと考え、またこのような結果は自分が間違ったことを証明するだけのものと考えるようになる。これは『固定的な思考』をする人の考え方だ。しかし、『成長型の思考』をする人は快適でない状態を一種のトレーニングととらえ、失敗を一種のフィードバックととらえ、ネガティブな失敗体験の中にポジティブな人生経験を見いだす」との見方を示した。

汪さんはこれを「伸びしろゾーン」と呼ぶ。「体を伸ばすトレーニングをしている時は、あまり快適ではないだろうが、伸ばすことで体の柔軟性がアップする。これは挑戦に立ち向かう過程と同じだ。とはいえ体の声をよく聞いて(自己認識力を高めて)、伸ばしすぎて体を動かすのに支障が出ることのないようにしなければならない」という。

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