米国のバイデン大統領はこのほど、インド太平洋地域の新たな経済枠組み(IPEF)を始動し、アナリストは「これは本質的には米国が中国に対して経済競争を展開するためのツールだ」との見方を示した。
IPEFは中国にとって非常に大きな脅威になるだろうか。必ずしもそうなるとは限らない。
IPEFの参加国はASEAN諸国が圧倒的多数を占める。政府の公式データによれば、新型コロナウイルス感染症の流行中に中国-ASEAN間貿易は流れに逆らって増加した。2021年の貿易額は前年比28.1%増の8782億ドル(1ドルは約127.0円))に達し、そのうち中国の対ASEAN輸出は同26.1%増の4836億9千万ドル、ASEANからの輸入は同30.8%増の3945億1千万ドルだった。現在、ASEANは中国にとって引き続き1番目の貿易パートナーだ。
中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の許利平研究員は、「事実が証明するように、中国・ASEAN間協力には非常に高い強靱性とポテンシャルがある。地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効して、双方の協力のポテンシャルはこれからさらに発揮され、より多くのニーズと市場を活性化すると予想される。排他性を出発点とするIPEFは、地域一体化およびグローバル化の大きな流れと一致しないことは明白であり、地域に持続的なボーナスをもたらすことは難しく、効果的に推進するのが難しいことは確実だ」との見方を示した。
許氏は、「IPEFはASEANを中国包囲の突破口にすることを企図するが、最終的に当てが外れる可能性が非常に高い」と述べた。
別のアナリストも、「ASEAN諸国にとってみれば、中米の間でうまく立ち回り、中国包囲網に関わらないことが、自分たちの利益により合致する」と指摘した。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年5月25日