中国の学者がいる国際研究チームはこのほど人工知能(AI)を利用し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の潜在的な治療ターゲットを発見し、ALSの治療に新たなアプローチを提供した。新華社が伝えた。
ALSは一種の神経変性疾患で、その治療原則は現在、症状軽減が中心で、すでに承認されている治療薬は患者の神経変性症状をほとんど逆転できない。
AI創薬企業のインシリコ・メディシン、米ジョンズ・ホプキンス大学医学部、ハーバード・メディカルスクール関連のマサチューセッツ総合病院、中国の清華大学などの機関が協力して行った研究において、研究者は「PandaOmics」と呼ばれるAI生物学的標的発見プラットフォームを利用し、複数の公衆データセットの大量の中枢神経系サンプルのトランスクリプトームデータ及び多くのALS患者の運動ニューロンサンプルのトランスクリプトームとタンパク質データを分析した。
AIはこれらのALSの進展と関連するビッグデータの分析により、その中から17の高信頼性ターゲットと11の新治療ターゲットを確定した。研究者はその後、ALS患者の状況をシミュレートしたショウジョウバエモデルで検証を行った。上述した28のターゲットのうち18が神経変性症状を遅らせることを証明した。
関連論文はこのほど、国際的な学術誌「Frontiers in Aging Neuroscience」に掲載された。論文著者の一人で、清華大学薬学院教授の魯白氏は取材に対し、「AI駆動で大量のデータセットの中からターゲットを発見し、マウスやショウジョウバエなど複数のモデルにおける生物検証を行い、さらに研究者が提案した試験を通じスピーディに臨床試験を行った。これは一つの新たなトレンドを示しており、薬品開発のコストと時間の大幅な削減・短縮に期待できる。より重要なのは成功率の上昇で、神経変性疾患にとっては特にそうだ」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月6日