ゴムボートを漕いで出勤する北京の男性が話題に 市内の川でボートはOK?

人民網日本語版 2022年07月28日09:55

鐘楼北橋から川に降りて、東直門までゴムボートを漕ぎ岸に上がり出勤した北京市民の楊さん(29、ハンドルネーム・奇異学士)は、SNSに画像付きで「北京でボートで出勤したのは僕が初めてだろう」と綴り、話題を集めている。アウトドアスポーツが大好きという楊さんは、渋滞対策として北京で実施されているナンバーによる走行規制のため、車で出勤できない日に、ゴムボートで出勤して、ネットで注目集めている。人民網が各社の報道をまとめて報じた。

通勤の1時間が楽しい時間に

あるネットユーザーは、「安定門から東直門までなら歩いたほうが速い」や「ゴムボートと自転車、ウォーキングのどちらが速いかではなく、平凡な生活の中で楽しみを見つけることができているというのがポイント。これは暮らしに対する態度だ」といったコメントを寄せている。マップで距離を測定してみると、楊さんの会社までの距離は3キロ未満で、歩くと約40分、自転車なら約15分の距離だ。一方、楊さんは約1時間ゴムボートを漕いでやっとたどり着いたという。

「普段、公共交通機関を利用したとしても、自分で車を運転して行ったとしても、その途中は気持ちが落ち着かない。でも、ゴムボートを漕いで行くと、頭を空っぽにして、その時間を楽しむことができる」と楊さん。

キャンプがブームとなり水上スポーツも人気に

中国ではここ数年、都市の河川や湖の環境が改善し続けており、それらの場所に行って水遊びをするという市民も増えている。

北京では、亮馬河や昆玉河、通恵河、朝陽公園といった場所の水域が一般市民に開放されており、水上でスタンドアップパドルボード(SUP)に乗って、楽しい時間を過ごしている若者たちの姿をたくさん見ることができる。また、楊さんのように、都市を囲むように流れる河川で各種レジャーにチャレンジする人も登場し始めている。

上海英邦体育クラブのパドルボードのコーチ・冠景曦さんは、「パドルボードを含む水上スポーツが突然大人気となったのは、キャンプが人気となっていることとある程度関係がある。春にキャンプを楽しむ人が増え、その後、テントを張るだけのキャンプではつまらないと感じて、他のレジャーやスポーツと組み合わせる人が増えた。こうして、『キャンプ+』という概念が登場し、フリスビー、サイクリング、パドルボードなどが人気となった」と分析する。

そして、「アイテムの生産技術が向上したことも、それら水上スポーツが人気となっている原因の一つだ。中国は、インフレータブルタイプのパドルボード生産大国で、中国では2000-3000元(1元は約20円)でパドルボードを始めることができる。また、そのようなタイプのアイテムはコンパクトに収納でき、持ち運びが便利だ。近年、中国の若者の間でブームになっているオシャレなスポーツを見ると、青空の下で時間を過ごすことを望む人がどんどん増えていることが分かる。水の上に立つと、以前には経験したことのない角度から世界を見ることができることを発見できる。それはとても不思議な感覚で、僕がパドルボードにはまったのもそれが理由」と語る。

水務当局、「今は出水期で河川で水上スポーツはしないように」

統計によると、北京には5大水系があり、河川が400本以上ある。それら河川や湖は、北京の水循環機能を支え、春や夏になると、納涼や自然の景色鑑賞、水遊びの場となる。

ゴムボートを漕いで会社に通う楊さんは、「川でボートを漕ぐ前に、ネットを使ってたくさんの法律、規定を調べた。水源地や生態保護区ではボートを漕ぐことができないが、他の公共の水域は水上で遊んではいけないという規定はなかった」と話す。

ただ、水務当局は、「北京はすでに出水期に入った。雨の日も多く、河川の水が増えて、排出しなければならないことも多く、川底の地形も複雑だ。そのため、河川で泳いだり、カヌーやパドルボードなどの水上スポーツをしたりしないように」と注意喚起している。

冠さんは、「水上スポーツの専門家は、都市は開放されている水域の管理を明確化しなければならないと考えている。例えば、一部の水域で指定の時間に、許可証を持っている人を対象に水上スポーツを許可するなどだ。これは車の運転と同じように、どの道路を走ることができるか、誰が運転できるかなどの明確な基準があればいいと思う」と話す。

また、都市の公共スペース設計専門家も、「公共スペースは、うまくリードすることをメインにして、禁止することはできるだけ避け、市民に優しい管理を実施しなければならない。このようにリードと取り締まりを組み合わせて、安全を保証することを前提に、さらに多くの水域を開放する方法を探り、市民が水遊びをもっと楽しむことができるようにすべきだ」との見方を示した。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年7月28日

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