現地時間8月9日、バイデン米大統領は「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法案」に署名し、資金を大規模に投入して米国の半導体の製造および科学研究を強化し、自国の科学技術競争力を高めることを目指すとした。
この「科学」の衣をまとった法律は、本質的には科学の発展と市場経済に対する粗暴な干渉であり、冷戦の色彩を濃厚に帯びている。
同法案が署名された日に、米3大株価指数は軒並み低下し、中でも半導体銘柄が真っ先に低下し、特にNVIDIAとマイクロン・テクノロジーは低下幅が3%を超えた。こうした動きはグローバル化に逆行した動きに対する市場の最も直接的かつ明確な反応だと言える。
2800億ドル(1ドルは約133.1円)ものライセンスに関わる法律として、同法案は典型的な反グローバリゼーションの法律であり、その内容には米国の半導体製造業の生産・研究開発への500億ドル以上の補助金も含まれる。
データを見ると、米国のグローバル半導体製造業におけるシェアは、1990年に37%あったのが徐々に低下して現在は12%前後だ。これは市場の比較優位性がその役割を発揮したことの自然な結果であり、世界が相互に依存し合い協力して進歩するという正常な現象でもある。
それに対し、同法案は政府が直接干渉するスタイルで産業の発展に介入するものであり、市場の法則に背いても構わないというものであり、その狙いは科学技術における米国の一方的な覇権を守り抜くことにある。ただ市場はこれを認めようとしなかった。
最も驚くべきなのは、この法案が連邦資金を受け取った企業の中国における最先端プロセスの半導体増産を明確に禁止すると規定したことだった。こうした明確な排他性を持った政策の目的が、中米間の半導体産業のデカップリングを推進することであるのは明白だ。台湾積体電路製造(TSMC)、サムスン電子、インテル、マイクロン・テクノロジーなど、中国と米国で同時に半導体の製造・開発工場を展開する「半導体大手」は、これから中米両国市場の間でどちらの側に就くのか選択を迫られるという大きな圧力にさらされることになる。
元々は米国の半導体製造を促進するための同法案は、半導体銘柄の一斉の下落を食い止めることはできなかった。9日のフィラデルフィア半導体指数は一時170ポイント以上低下して低下幅は5.7%に達し、3000ポイントと2900ポイントの大台を相次いで割り込み、前日比4.6%低下で取引を終え、3日連続の低下になり、7月26日以来の最低を更新した。この市場の下落が問題の所在を明確に物語っている。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年8月11日