米議会上院は現地時間7月19日、手続き上の投票を行い、中国に大きく関連する法案「CHIPS法」を64対34の賛成多数で可決した。米政府が主導する大規模な半導体投資計画が上下両院の「関門を突破する」ための重大な一歩を踏み出した。
圧倒的多数の現代的電子製品と新興技術の中核的ハードウェアの1つとしての半導体は、中米競争の中で主役の座位を与えられてきた。2018年から中国のテクノロジー企業及び個人に対して一連のより厳しい制裁措置を打ち出してから、今年3月に米主導の半導体同盟「チップ4」を打ち出すに至り、さらには7月上院がいわゆる「半導体法案」を可決するまで、米国が中国に対して発動した「半導体戦争」は激しさを増している。
だが、数年が経っても、米国の対中抑圧は中国製造業の発展を抑制しなかっただけでなく、逆に中国のハイテク企業の急速な成長を効果的に促進してきた。米国を別の角度から見ると、中国に対する「ハードなデカップリング政策」が米国国内の生活コストとインフレ水準を押し上げた。グローバル化が高度に進み成熟した体系の中で、サプライチェーンを国内に移転させようとする米国の「経済安全保障戦略」は、赤字続きの米国の国庫をさらに困窮させた。「半導体戦争」を含む一連の対中競争の手段が、最終的には米国自身にマイナスとなって跳ね返ってきた。
米ブルームバーグ社は「米国の制裁が中国の自国における半導体製造の急速な発展をサポートしている」との報道の中で次のように指摘した。過去4四半期に世界で成長率が最も高かった半導体業界の企業20社のうち、19社が中国企業だった。一方で、前年同期の中国企業は8社に過ぎなかった。中国の半導体サプライヤーの収入成長率は、既存の半導体業界のリーディングカンパニーである台湾積体電路製造股份有限公司とオランダのASMLの数倍となっている。アップルをはじめとする米国企業は中国の半導体サプライヤーをフラッシュメモリのサプライヤーリストに加えることを検討している。ワシントンと北京との間の緊張関係が、世界の半導体業界の局面を書き換えつつあるという。
米国は中国を抑制する目的を達成できないだけでなく、自国の利益さえ損なっている。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の予測では、ワシントンが中国に対して「技術のハードなデカップリング政策」を取り、米半導体企業の中国への製品輸出を完全に禁止すれば、米半導体企業は世界シェアの18%と収入の37%を失うとともに、ハイレベル技術職の雇用が1万5千人から4万人減ることになる。また完全に自給自足の現地のサプライチェーンを構築するには少なくとも1兆ドル(1ドルは約134.5円)の初期投資が必要で、業界全体で毎年通常の経営コストを450億-1250億ドル増やさなければならず、半導体の価格を35-65%上昇させることになり、すでにインフレの高止まりに苦しむ米国経済にさらなる困難をもたらすことになる。
グローバル半導体バリューチェーンの「デカップリング」はより多くの経済的コストを支払うだけでなく、業界の未来のイノベーションと発展にも影響を与える。米ワシントンに本部を置くシンクタンクの戦略国際問題研究所は、「複雑で高度に依存し合うグローバルバリューチェーンの中で、米国と中国の半導体企業は早くから深く融合してきた。サプライチェーンを完全に現地化しようとすれば、極めて大きな経済的コストと技術的コストを支払うことになる。そのため、グローバル半導体業界の完全なデカップリングは全く現実的ではない。最悪の結果は、中国の半導体業界が米国の技術標準を徹底的に否定して、2つの独立した半導体生態圏が形成され、世界のすべての半導体ユーザーのコストが上昇し、テクノロジーの進歩が妨げられることだ」と指摘した。
中国商務部(省)の報道官がこのほど述べたように、産業チェーンとサプライチェーンの安定は現在、各方面が高い関心を寄せるグローバルな問題だ。どのような枠組が設置されるにしろ、包摂と開放を維持しなければならず、差別的、排他的であってはならない。グローバル産業チェーン・サプライチェーンの安定を促進すべきで、グローバル市場に損害を与えたり、分裂させたりしてはならない。目下の情勢の中で、産業チェーン・サプライチェーンの開放協力を強化し、断片化を防止することは、関係各方面にプラスであり、世界全体にとってもプラスになるのだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年7月29日