中国の科学者、嫦娥5号着陸エリア火山活動の歴史研究に進展

人民網日本語版 2022年09月16日15:09

中国の月探査機「嫦娥5号」は2020年12月に月の表側の、嵐の大洋のKREEP地形の北東部に着陸し、着陸エリアの月面物質のサンプルリターンを成功裏に行った。中国科学院国家宇宙科学センターの太陽活動・宇宙気象重点実験室は上海天文台などと協力し、嫦娥5号着陸エリアの玄武岩の厚みと噴出速度などを計算した。

研究結果によると、嫦娥5号着陸エリアでは少なくとも火山のマグマが4回噴出していた。厚さの平均値はそれぞれ230メートル、70メートル、4メートル、36メートル。各玄武岩の面積と年齢の計算結果を結びつけ、嫦娥5号着陸エリアの玄武岩の噴火速度を計算したところ、同エリアのマグマの噴出量が月の火山活動後期(約20億年前)に大幅(約2桁)に拡大したことが分かった。

これまでのシミュレーションでは、嵐の大洋のKREEP地形に豊富に含まれる発熱元素が、月の火山活動維持の主な原因とされていた。ところが最新のサンプル研究結果によると、嫦娥5号着陸エリアの玄武岩はKREEP玄武岩ではなかった。同研究は、嵐の大洋のKREEP地形に含まれる発熱元素が月マントルの一部の溶融エリアに熱源を提供したが、マグマが月マントルから急上昇し月面に至る過程において嵐の大洋のKREEP地形のKREEPと十分に混合する時間がなく、そのため嫦娥5号玄武岩サンプルから多くのKREEP物質が見つからなかったという可能性を打ち出した。

このほか、嫦娥5号着陸エリアの地殻の厚さが月の地殻の平均を約25%下回っている上、付近で早期に発生した雨の海の衝突が地殻の中で大規模な亀裂構造を生んだ可能性がある。これらの要素は月マントルのマグマの月面への噴出にとって有利だった。

月の後期火山活動の維持メカニズムは常に、月科学研究におけるホットな問題だ。嫦娥5号玄武岩サンプルのさらなる研究の掘り下げにより、既存の月熱化学・動力学モデルに新たな制限を提供し、月の火山活動の持続時間と噴出規模を解明するための有力な証拠を提供する見込みだ。(編集YF)

「人民網日本語版」2022年9月16日

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