「最新」のトレンドとなっている歴史ある中国の伝統音楽が世界中の人々を魅了

人民網日本語版 2023年01月12日11:38

動画配信サイトのビリビリ(Bilibili)の年越し音楽番組「2023年跨年晩会最美的夜」において、「上海美術映画製作所宇宙」が披露した「中国人不蹦洋迪(中国人はディスコは踊らない)」が微博(ウェイボー)で検索のトレンド入りを果たし、ビリビリのクリック回数だけでも100万回を超えている。同作品は、冒頭でアニメ「大暴れ孫悟空(原題:大鬧天宮)」のワンシーンが流れた後、チャルメラの音色が響きわたり、電子楽器とコラボした中国少数民族の佤(ワ)族の民謡のメロディーが流れ出す。そして、そのバックでは、「大暴れ孫悟空」や「ナーザの大暴れ(原題:哪吒鬧海)」、「牧童」、「ひょうたん童子(原題:葫蘆兄弟)」といった、上海美術映画製作所が製作したアニメのさまざまなシーンが映し出され、ネットユーザーを魅了した。文匯網が報じた。

数年前なら、中国の伝統音楽というと、業界関係者の間では、「ニッチなアートの中でもニッチ」と見られていた。しかし、今では、Z世代の想像力豊かなアイデアや活力が注入され、伝統音楽がアップデートされ続け、文化的自信が高まっている。FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022開催期間中、上海で活動する民族楽器バンド「自得琴社」が製作したW杯をテーマにした動画が話題となり、中国国内外の動画プラットホームでは、ネットユーザー数十万人が「いいね!」を押した。

動画を見ると、「自得琴社」のメンバーは、カタールW杯という世界中で大きな注目を集める一大イベントに合わせて、中国の伝統衣装を身にまとい、1998年にフランスで開催されたW杯における公式テーマソング「The Cup of Life」を、竹笛やチャルメラといった中国の伝統楽器のほか、アフリカの打楽器・ジャンベ、ペルーの打楽器・カホンなどを使って演奏している。中国と西洋の楽器がコラボレーションして奏でる賑やかな音色は、W杯というスポーツの盛典の雰囲気だけでなく、熱意があり、もてなしの精神に富む中国人の性質にもぴったりだった。中国の微信(WeChat)の「チャンネル」や動画共有サービス「YouTube」などでは、世界各地のネットユーザーが、さまざまな言語で、中国文化に対する熱い思いを綴った。例えば、海外のネットユーザー「Waterlow56」さんは、「天才的なアイデア!とても素敵で、見るととても楽しい気分になった」との声を寄せた。また、同じく海外のネットユーザー「GaiaMiranda」さんは、英語で「知識とユーモアがコラボしている!動画を見て、中国の伝統楽器・古琴を習いたくてたまらなくなった!」というコメントを寄せている。こうしたコメントは外国人にとって中国文化は非常に魅力が高いことを力強く裏付けている。

YouTubeでは、「自得琴社」がアップした動画の再生回数が延べ約9000万回に達している。2019年に打ち出された中国アニメ「秦時明月」をもとに製作した「空山鳥語」は、「自得琴社」が初めて伝統衣装を身にまとって製作した動画だった。その後、「自得琴社」は、伝統衣装と古琴を組み合わせるスタイルを常に採用し、自分たちの好きな伝統的な名曲や現代の音楽をカバーし続けている。ここ数年を見ると、「長安十二時辰幻想曲」やバッハの「G線上のアリア」、映画「ハリーポッター」の主題歌、ゲーム「アングリーバード」を題材にした動画、そして今回の「The Cup of Life」といった動画が注目を集め、その人気は中国国内だけでなく、海外にまで波及し、ネットユーザーの間で大きな話題となっている。

長年、民族楽器のPRに力を入れているチャルメラ演奏家の胡晨韻氏は、「『自得琴社』の動画が中国国内外で大人気になっているのは、中国文化と美学的ビジュアルを見事にコラボレーションさせているから。中国国内外のネットユーザーは、民族音楽を聞きながら、中国の伝統衣装や歴史を鑑賞することができる。それは、中華文化の対外PRにおいて有益な役割を果たしている。みんなが一緒に伝統をしっかり守りながら、イノベーションも行っており、中国の民族音楽は進歩しながら発展を続けている。そして、多くの人が中国の民族楽器が心から好きになり、民族音楽を学ぶ外国人がますます増えている」との見方を示した。

胡氏は昨年、民族楽器コンサート「吹破次元」を開催。アニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のオープニングテーマ「ブルーバード」やスラムダンクの主題歌「君が好きだと叫びたい」など、80後(1980年代生まれ)や90後(1990年代生まれ)の青春時代の思い出が詰まる楽曲を披露した。同コンサートには、そうした世代の多くの人々が子供を連れて参加した。同コンサートは、「大衆性」や「普及性」を際立たせており、「吹破次元(民族楽器で次元を超える)」というタイトルには、ハイクオリティなコンサートを通して、コンサート会場に来たことのない人、民族楽器を演奏するコンサートに来たことがない人を呼び込みたいという思いが込められていた。 胡氏は、「少数の演奏家だけで民族楽器の演奏を高めていこうとすると、その道は逆にどんどん狭くなる。ネット有名人になっている伝統音楽関係の投稿者も、プロの伝統楽器演奏者ではないが、若者がその流れを好んでいるということは、とてもいいことだ」との見方を示す。

「自得琴社」の朱里鉞社長が、「以前、外国人は、イブニングドレスを着てクラッシックコンサートを聞きに行っていた。今、伝統文化を愛する中国の多くの若者は、中国の伝統衣装を着て、中国の伝統音楽を聞きに行くようになっている。それは、文化に対する自信の具現化だ」と話すように、どんどん「オシャレ」になる中国の民族楽器の演奏を愛する若者がますます増えている。そして、そうした若者たちが今後の「トレンドリーダー」となっていく気配が感じられる。(編集KN)

「人民網日本語版」2023年1月12日

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