中国科学院空天情報革新研究院によると、同研究院のリモートセンシング衛星応用国家工学研究センターの石玉勝氏の研究チームは、世界の火災に伴う炭素排出による大気中の二酸化炭素(CO2)の濃度上昇の面で進展を遂げた。大気輸送モデルのシミュレーションを通じ、地上観測及び衛星データの検証を結びつけ、世界の火災に伴う炭素排出による大気中のCO2濃度への影響を量化した。人民網が伝えた。
研究結果によると、世界の火災に伴う炭素排出による大気中のCO2濃度の年間平均の影響は2.4ppmにのぼる上、大きな季節的変化が存在する。例えばアフリカは世界でバイオマス燃焼の排出量が最も多い地域で、これにより夏のCO2濃度が最大7.9-13.0ppm上昇する。モデルの評価結果によると、迅速火災排出データベース(QFED)をモデルとするアプリオリ火災炭素排出リストのシミュレーション性能が最も良く、衛星及び地上の観測結果との差が最も小さい。さらに、研究結果によると、南米南部及びユーラシア大陸の大半の地域では、シミュレーションのCO2濃度の火災炭素排出リストに対する感度が高く、アフリカ中部及び東南アジアは感度が低かった。
研究者によると、同研究は火災炭素排出の大気中のCO2濃度の変化に対する影響を精密に量化するための新たなルートと方法を提供し、バイオマス燃焼管理に科学的な根拠を提供している。これは生態環境ガバナンス及び炭素排出の協同削減などの環境政策の実施に対して指導的役割を果たし、中国のより的を絞った温室効果ガス排出削減活動の推進とCO2排出量ピークアウト・カーボンニュートラルの政策目標へのより良い対応にプラスとなる。
これに関連する研究成果「異なるバイオマス燃焼の排出リストへの影響:GEOS-Chemに基づく大気中のCO2濃度のシミュレーション(Impacts of different biomass burning emission inventories: Simulations of atmospheric CO2 concentrations based on GEOS-Chem)」は15日、環境科学及び生態学の学術誌「Science of the Total Environment」にオンライン掲載された。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年3月17日