日本は3年近く前の方針を転換して、今、世界貿易機関(WTO)の多国間暫定上訴仲裁アレンジメント(MPIA)への参加を検討しているところだ。
3年前の3月27日、中国、欧州連合(EU)、その他のWTOに加盟する10数ヶ国が共同閣僚声明を発表し、WTOにMPIAを立ち上げることを決定した。これはつまり、上訴機関がまひ状態に陥る中、MPIAによってWTOに一定の仲裁機能を持たせ続けるということだ。
当時のMPIA加盟23ヶ国には2つの貿易大国の姿がなかった。米国と日本だ。20年6月に行われたWTOの会合で、日本はMPIAへの不参加を表明し、この制度が支援者の言うような最終的目標を達成できるか不確実であることを理由に挙げた。
23年になっても、上訴機関のまひ状態が好転しない一方で、上訴機関の二審制度がまひするという現実を積極的に利用して無効な提訴を行うようになったWTO加盟国がある。
今年1月27日に行われた会議では、中国、ノルウェー、スイス、トルコ、香港特別行政区の5ヶ国・地域が8つの議題を設定し、米国が通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミ製品輸入に対する追加関税及び米国の香港特別行政区原産地表示に関する新たな規定がルールに違反する5件の裁決に対して、米国に違反措置の撤回を求めた。
米国は同会議に先立ち、上記の5件の裁決結果の全てについて上訴した。現在、上訴機関は停止状態にあり、米国はそのことを知ってわざと上訴したのであり、裁決の執行を無期限に棚上げしようとしている。
日本も他の案件でこうした困難に直面しており、同様の事例を2つ抱えている。
そんな中、MPIAは約3年間近くの運営を通じて着実に成果を上げ、これまでに2つの紛争を解決に導いた。トルコとEU及びコロンビアとEUに関わっている。
EUは日本の参加を歓迎するとともに、「現行のWTOルールはなお加盟国の貿易の大部分を支配しており、グローバル経済の分裂を防止する上で最良の防護柵だ」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年3月14日