SF映画「ゼロ・グラビティ」の中国的要素が明らかに (2)
■引力との戦いの撮影:あらゆる物理の常識を打ち破る
スチール写真をよく見てみると、サンドラ・ブロックが中国宇宙ステーションに乗り込むまでのすべての過程において、常に無重力で宙に浮いた状態であることがわかる。恐らく、映画ファンはすでにこのような無重力状態の写真を見慣れてしまっているかもしれないが、一体いかにしてこれほど自然でリアルな無重力の映像を作り上げたのか。これこそが、まさに映画が挑む最大の挑戦「ゼロ・グラビティ」であった。
つまり映画「ゼロ・グラビティ」にとって、「無重力に見せる」ことこそが重要であった。人間は重力を無くすと、直感的な認知を覆す現象を引き起こす。しかし、「ゼロ・グラビティ」は作られた世界であり、あくまでも優雅さや表現力の手段によってあらゆる物理的な常識を打ち破っている。劇中、主人公が簡単に高いところへ這い登っていくように見えるシーンがあるが、実際には製作チームが膨大な時間と精力を費やし、主人公が一見まったく苦労せずに無重力状態で宇宙ステーションに乗り込むように見せているのだ。
■細部の研究:宇宙の中でも、磨耗や破損はある
「天宮一号」は中国初の宇宙ステーション実験機であり、宇宙飛行士の生活必需品や作業で必要な材料や設備はすべて宇宙船で運ばれる。宇宙の緊急救命艇として、有人宇宙船は宇宙ステーションの外側にドッキングされている。劇中では、サンドラ・ブロックが演じるメディカル・エンジニアのストーン博士は、中国の宇宙ステーション実験機に頼って無事に地球に生還する。現時点で公開されたスチール写真では、宇宙船内に中国語で書かれた生活必需品や作業の材料や設備が登場する。例えば「救命バッグ」や「水筒」、「短波無線受信機」、「誰々の設備機器」などだ。
劇中では、百以上の道具が登場し、大型の工具から小さなネジまですべてが丹念に研究・デザインされている。コンピューターのシミュレーションを行った後、コンピューターの言語を用いて、これらのシーンの道具を表現している。宇宙ステーションでは異なる国籍の人々が働いていることを考慮して、劇中のシーンでもそれぞれの文化的要素を取り入れた小道具が取り入れられている。このほか、宇宙でも摩擦や損壊があることも映し出され、宇宙ステーション内外のあらゆるものに耐用年数の限界があることが見て取れる。
■中国的要素:予想外ながらも実情に合致
劇中ではあえて中国宇宙ステーションなどの中国的要素が取り入れられている。しかし、これは単純に中国市場でより利益を得るために取り入れられているというわけではない。なぜなら現在大国の中でも、実際米国、ロシア、中国などといった数カ国しか独自の宇宙ステーションを持っていないからだ。映画のストーリーに中国宇宙ステーションが出てくることは予想外ではあったが、実際の状況に合わせ見ると、「道理的には自然である」とアルフォンソ監督は語っている。天宮一号や神舟宇宙船のほかに、劇中では一瞬だが卓球や弥勒菩薩像などの中国的要素も登場する。
ワーナー配給、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン監督、オスカーのアカデミー賞女優のサンドラ・ブロック、ゴールデングローブ賞男優のジョージ・クルーニー主演の「ゼロ・グラビティ」は、スペースシャトルで働くベテラン宇宙飛行士のマット(ジョージ・クルーニー)と初めて宇宙で任務を行うメディカル・エンジニアのストーン博士(サンドラ・ブロック)が船外作業を行っていたところで、突然衛星が爆発する事故に遭い、宇宙空間に放り出されるという絶望的な状況に陥るというストーリーだ。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年11月11日