ハリウッド大作で中国人が世界を救うシーンが増加 (2)
「パシフィック・リム」、中国製「クリムゾン・タイフーン」が怪物と闘う
今年公開のSF怪獣映画「パシフィック・リム」(ギレルモ・デル・トロ監督)では、超高層ビル並の巨体をもった怪物が突如出現し、サンフランシスコ湾を襲撃した際、人類を救うために出動した人型の巨大兵器「イェーガー」の中に、真っ赤なボディーに金色のラインの中国製「クリムゾン・タイフーン」が登場した。そして、操縦するのは中国系の三つ子だった。さらに、ギレルモ・デル・トロ監督はメディアに対して、「イェーガーの中で、私の娘が最も好きなのはクリムゾン・タイフーン」と述べている。
クリムゾン・タイフーンの登場が中国の映画ファンの間で話題になり、「中国の神話に出てくる『ナタ』をモデルにしたのでは」という声も上がっている。
「エクスペンダブルズ」、ジェット・リーがスタローンと共演
人気絶頂だった時代、米俳優シルヴェスター・スタローンは敵を倒すために中国人の助けが必要だなどとは考えもしなかっただろう。当時、アジア人と言えば、ランボーにマシンガンで一瞬にして抹殺されるという役だった。しかし、シルヴェスター・スタローンは、2010年から旗を振っている「エクスペンダブルズ」で、中国出身の武術家で俳優の李連傑(ジェット・リー)を起用している。小柄でも、腕利きの中国人が筋肉隆々の男たちと共に闘う姿があるからこそ、全世界累計の興行収入が約2億5千万ドル(約250億円)に上る大ヒット作になり、続編が次々に制作されることになった。
「アイアンマン3」、中国人がアイアンマンを救う
今年公開のスーパーヒーロー映画「アイアンマン3」(シェーン・ブラック監督)の「中国バージョン」では、アイアンマンが世界を救い、中国人がアイアンマンを救う。つまり、中国人が世界を救うのだ。同作品の原作では、中国人が最大の敵となっているが、興行収入のことを考え、同バージョンの制作につながった。つまり、中国市場がハリウッド大作に大きな影響力を及ぼすようになっているのだ。
中国の人気女優・范氷氷(ファン・ビンビン)と俳優の王学圻(ワン・シュエチー)が医師役として登場し、アイアンマンの傷の手当てをするシーンが加えられている同バージョンは中国でしか見ることができないが、中国人のイメージアップという点では十分の役割を果たしている。