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日本人の名字は30万種類 「鼻毛」や「御手洗」も

 中国には3000種類以上の姓があり北宋(960-1127年)の初期には、姓を並べた経典「百家姓」が制作された。一方、中国文化の影響を色濃く受けた日本には、約29万種類の名字(苗字)があり、そのうちの 7000種類で人口の96%をカバーしている。また、佐藤、鈴木、高橋、田中など、名字ランキング1-10位の名字だけで、総人口の約10%をカバーしている。一方、「醤油」、「御手洗(みたらい)」、「鼻毛」、「我孫子(あびこ)」など、日本人でも振り仮名がなければ読み方が分からず、友達にからかわれてしまいそうな珍しい名字もある。それでも、日本人は名字に秘められた「文化的要素」を重視し、存続の危機が危ぶまれる珍しい名字の保護を呼び掛ける声もある。そのようにして、名字の背後にあるストーリーや伝統を「歴史の標本」として保存しようというのだ。また、日本に星の数ほどの名字があることは、日本の社会・文化の多様性や日本人の「家族」という概念に対する独特の考えを反映している。環球時報が報じた。

 ■名字の分布に見る地域の特徴

 日本は世界で最も名字の種類が多い国の1つ。基本的に1つの民族で1国を構成し、総移民人口が比較的少ないという条件を考えると、その種類の多さはまれに見るケースだ。その長さまさまざまで、一番長いのは漢字で5文字、短いのなら、漢字で1文字だ。

 日本の名字は、通常15万あるといわれているが、1997年版の「日本苗字大辞典」によると、29万1129種類ある。その原因は、同辞典が、同じ漢字でも、読み方が違うものや読み方は同じでも字体の異なるものをそれぞれ1種類と数えているからだ。実際には、日本人の96%をカバーしているのが7000種類の名字で、うち最も多いのが「佐藤」で約190万人、2位が鈴木で約170万人だ。また、地域ごとの特徴も顕著で、東京や周辺の千葉、神奈川、埼玉などは、「鈴木」が最も多い。一方、北海道や東北各県は、「佐藤」が最も多い。また、関西や九州の一部の件で最も多いのは、「田中」や「山本」だ。そのほか、各県にも、特有の名字がある。その最もよい例が沖縄で、「比嘉」、「金城」、「大城」、「新垣」など最も多い名字20種類はいずれも、一般的な名字ではない。琉球王国(1429-1879年)の時代の名字が今でも残されており、これは沖縄の歴史・文化と日本の「本土」の間に明らかな差異があることを示すものでもある。

 ■バラエティーに富む名字

 日本には、100人以下の珍しい名字が少なくとも1万種類あり、そのうち、「鳳凰」、「夜桜」、「十六夜」などは、存続の危機に瀕するほど、少なくなっている。これらの名字は珍しいだけでなく、その漢字に日本の情緒を感じる。

 宗教の影響から、日本では「神」や「鬼」などの要素が入った名字が数多くある。例えば、「神」、「仏」、「龍神」、「地藏」、「鬼」、「百目鬼(どうめき)」「無量塔(むらた) 」、「釈迦牟尼仏(にくるべ)」などだ。さらに、「正月一日(あお、あら)」、「四月一日(つぼみ、わたぬき)」、「八月一日(はっさく、ほずみ)」など日付が名字になったもの、「一尺八寸(かまづか)」など長さが名字になったもの、一二三(ひふみ)、三九二(みくに)、七五三(しめ)、九九九など数字が名字になったものもある。また、「猪股」、「牛腸(ごちょう)」、「鴨頭(かもがしら)」、「鶏尾(けいお)」、「馬尻」、「蜘手(くもで)」、「蚊爪(かづめ)」、「犬飼」、「牛糞(うしくそ)」など動物が名字に入っているもの、「福岡」、「東京」、「京都(みやこ)」などの地名が名字になったもの、「鍛(かじ)」、「忌鉄師(いみがぬち)」、「膳夫(かしわで)」など職業が名字になったもの、「塩」、「砂糖」、「醤油」など食品が名字になったものなど、さまざまだ。そのほか、「千寿」、「万福」、「万代」、「幸福」など、おめでたい名字や、「鼻毛」、「我孫子」、「御手洗」など、おもわず笑ってしまいそうな名字もある。

 一方、同じ漢字でもさまざまな読み方ができる名字もある。例えば、最も簡単な「一」には、「いちもんじ」、「でかた」、「にのまえ」などの読み方があり、「海部」には14通りの読み方がある。また、珍しい名字の1つ「小鳥遊(たかなし)」は一見しただけでは読み方が分からないが、その由来は「小鳥が遊ぶ」→「天敵がいない」→「鷹がいない」→「たかなし」だという。「八月一日」は、旧暦8月1日に実る稲の穂を摘み贈る風習が由来と言われている。「鴨脚(いちょう)」は、銀杏の葉が鴨の足に似ていることから中国語で銀杏を「鴨脚」と書くことに由来しているとされている。このような読み方は、外国人はおろか、日本人でさえすぐに正確に読むことは至難の業だ。

 ■思いつきで付けた名字もある?

 日本の名字の由来に関して、言語学者は、天皇、宗教、地方の特徴などが関係していると見ている。古代、氏族社会の時代、地域や職業を特色を表す「氏(うじ)」があり、その後日本を統一した大和朝廷が氏姓制度(しせいせいど)を導入し、「氏」が支配階級の構成単位となった。平安時代になると、貴族や武士では、血縁集団を区別するための氏(ウジ)とは別に、家族集団を区別するために家名ないし名字を名乗るようになり、それが一般的に通用するようになる。日本の古代の四大姓氏とされる「源」、「平」、「藤原」「橘」のうち、「橘」以外はいずれも、天皇から恩賞として授けられたものだ。一方、日本の天皇には姓氏がない。その理由は、天皇は神性を備えており、どの氏族にも所属しない天の人と考えられているからだ。封建時代、貴族や武士、商人だけが「姓」を名乗った。日本人が「名字」と「名前」を持つようになったのは、明治維新以降で、明治政府は1875年、「平民苗字必称義務令」を公布し、全ての国民について名字の公称が義務づけられた。その時、多くの日本人がどんな姓を名乗ればよいのか分からず、とっさに思いついたものを名字として採用したため、珍しい名字が数多く存在するようになったと言われている。

 ある日本の文化学者は、「『家族』という概念を重視する日本人は、新たな家業の開創や家族内部の関係、外部の地位の変化などを姓氏によって表そうとした。そのため、『姓』を受け継ぐという前提の下、名字が絶えず変化し、今日のように多くの名字が存在するようになった」と指摘している。(編集KN)

 「人民網日本語版」2013年6月4日

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powderwsnow   2013-08-22115.176.5.*
 「日本苗字大辞典」はインチキな苗字を集めたインチキ本です。この本は絶対に信用してはいけません。「釈迦牟尼仏」「正月一日」「忌鉄師」など文中に出てくる苗字の中にも現在はもちろん過去にも実在したことのないインチキ苗字が出てきますが、もとは「日本苗字大辞典」でしょう。約30万種というのは漢字表記と読み方の双方が一致して一種として数えたものでしょうが、この数え方でも日本の苗字は20万種を超えず、多く見ても15万種前後と思います。 「無量塔」は本名を「村田」というバイオリン職人の職業名です。「牛糞」は遠く戦国時代に実在していましたが、今はあとかたもありません。 日本の苗字の種類が多いというのは中国姓に比べてのみ言えることで、人口比で見ればイタリアやフィンランドなどに遠く及びません。
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