北京発着フライト機長に視界不良時の着陸技術要求
中国中部・東部はこの1週間、今年上半期で最も広範囲の煙霧に見舞われ、国内各地の空港のフライト離着陸に影響が出た。しかし、来年はこのような煙霧によるフライトへの影響は大幅に軽減する見通しだ。民用航空局(民航局)はこのほど、国内十大空港から北京発着フライトの機長に対し、来年から、煙霧発生時でもスムーズに離着陸できる「視界不良の状況においても、計器着陸装置(ILS)を用いて発着を行う技術」を習得するよう求めた。新京報が伝えた。
民航局によると、今回の要求は、煙霧に対応するだけが目的ではなく、新技術を用いることで、可視度の低い極端な悪天候の下でも、フライトの正常な離着陸を可能とするための措置という。華北空管局関係者は、「北京首都空港では今年に入り、深刻な霧煙が原因で、ILSを使った着陸が6回行われた」としている。
○ILSシステムを備えた空港、中国国内で10%未満
ILSを使用すると、パイロットは滑走路への進入の際に、自分でコースを定める必要やメータなどの機器に頼る必要なしに、航空機を着陸させることができる。煙霧が発生し、可視度が低い状況においても、航空機の発着効率を高めることが可能だ。
華北空管局の顔暁東・シニアエンジニアは、「北京首都空港や上海浦東空港には三類ILSシステムが、成都双流、西安咸陽、広州白雲空港など一部空港には二類ILSシステムがすでに完備されている。2008年4月末の時点で、中国国内には旅客航空便が利用している空港が151空港あるが、このうち二類ILSシステムを備えている空港は10%にも満たない」と指摘した。
民航旅客機の操縦士資格を獲得するためには、各種テストに合格する必要があるが、この中にILS操作技術は含まれていない。このため、今回の通知を受け、各航空会社は相次いでパイロットを対象とした「ILS操作技術」の特別研修トレーニングを実施している。
中国国際航空では、社内の全機長を対象に、年末までにニ類ILS操作資格の試験を行う。中国東方航空では、この技術を獲得したパイロットがすでに過半数に達した。吉祥航空の大部分の機長、海南航空の機長200人以上も、この技術を習得済みという。
実際のところ、エアバスA330型機やボーイング767型機など大型長距離旅客機を国内線で操縦しているパイロットは全員、このニ類ILSの操作資格を有している。
■ 民航局のコメント:「北京発着フライト機長のILS操作技術取得は、特に目新しい規則ではない」
民航局担当者は11日、「機長に対するこのような要求は、今年2月に発表されたもので、最近の深刻な煙霧発生への対応策という訳ではない。この要求は、フライトの正常な発着を確保するための一連の措置の一つで、可視度の低い天気には、濃霧、曇、雨なども含まれ、煙霧はその中のひとつにすぎない。この要求によって、北京発着フライトの定刻離着率が高まる以外に、他の空港に及ぶマイナス影響も軽減される」とコメントした。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年12月13日