中国の粉ミルク価格が世界で最も高いのはなぜ?
ニュージーランド系の乳幼児用粉ミルクメーカーのリボンヌはこのほど、広東省広州市で記者会見を行い、消費者が伝統的なルートで海外メーカー産の粉ミルク1缶を買うと、価格の約50%が卸売や中継ぎなどを行う流通業者のもうけになるという業界の「秘密」を明らかにした。リボンヌは中国市場に進出して12年になり、米国のナスダックに上場している。専門家によると、今回の「暴露」は中国での乳幼児用粉ミルク価格が世界で最も高いことが発端だという。「京華時報」が伝えた。
業界の秘密を探ってみた。
▽伝統的なルート:海外メーカーの粉ミルク 流通コストが半分
リボンヌの中国法人・蕊盛蕊乳業集団公司の余丹総裁によると、小売価格が300元の粉ミルクの場合、1缶あたりの価格のうち流通コストが約48%に達する。だが電子商取引(eコマース)のルートなら、メーカーは同じ製品を156元で消費者に提供できる。この価格なら世界各国の乳幼児用粉ミルクの平均価格にほぼ近いものになる。高額の流通コストは粉ミルク産業の「公然の秘密」だという。リボンヌの今回の発表は、ここ数年、価格上昇を続けてきた海外産粉ミルクの最後の砦をうち破るものだといえる。
余総裁は海外産粉ミルクのコスト配分を次々に明らかにした。市場での小売価格が1缶300元の製品の場合、製造コストが約20%、原産国での輸送費用・倉庫代が約1%、関税コストが約1%、輸入増値税(付加価値税)が約3%、中国での流通費用・輸送費用が約1%、全国の代理販売業者の粗利益が約26%に上り、これで全体の約52%になる。
余総裁は次のように続ける。この後で伝統的な流通ルートに入ると、そこを通るためのコストが48%になる。製造コストは100元足らずなのに、最終的に消費者の手に渡る時には2-3倍の価格にふくらむ。この背後にある大きな原因は、ルートを通るためのコストが上昇を続けていることだ。
余総裁は海外産粉ミルクの高価格の内幕を暴露したが、実は今年8月に国家発展改革委員会が粉ミルクメーカー6社に対し、価格独占があったとして6億6873万元に上る巨額の罰金を科し、粉ミルク産業の高額の流通コストの実態を明らかにした。この処分の対象となったメーカーの調製粉ミルクの中国での流通コストは価格の20%から40%にも達し、世界各国の平均水準の4-14%を大幅に上回る。