濃霧が警告 経済モデル転換は引き延ばしできない (2)
国際エネルギー機関(IEA)は09年、中国のエネルギー消費量は米国を抜き、世界一になったと発表した。国家統計局はこれを認めておらず、「中国のエネルギー消費量が米国を抜いたことはなく、ずっと2位だ」としているが、中国のエネルギー消費量が米国と少なくとも同レベルだとすれば、生み出される国内総生産(GDP)は米国のわずか3分の1になるという問題を避けて通るわけにはいかない。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)の李揚副院長の研究はこの点をさらに明確にし、GDPから生態環境の悪化と環境汚染による経済的損失を差し引けば、中国の経済成長率は5%程度になるとする。環境保護部のグリーンGDP試算の結果も、04年から09年にかけて環境汚染の代償は5118億元から9701億元に増加し、中国の経済発展が支払わなければならない環境汚染の代償が増加を続けていることがわかる。
環境汚染が進んでいることと、粗放型の成長モデルとは切っても切り離せない。特に中国のGDPが4倍以上増加した過去10数年間は、環境汚染が最も深刻な時期でもあった。
すでに数年前にグリーンGDPに基づく業績評価を求める声が高まったが、最終的には地方政府の反対を受けて、既存のGDP業績評価システムを変えることはできなかった。単位GDP(GDP1万元)あたりのエネルギー消費量を第11次五カ年計画(2006-10年、十一五)期間に20%引き下げるという目標も、ぎりぎりで達成できたに過ぎない。第12次五カ年計画(2011-15年、十二五)がスタートした11年には、省エネ・汚染物資排出削減の任務を十分に達成することができず、単位GDPあたりのエネルギー消費は通年で2.01%しか引きげられず、目標値の3.5%に達しなかった。