10年物日本国債の利回りは「ジェットコースター」 (2)
中信証券固定収益部の傅雄広マクロアナリストによると、日本は現在インフレの圧力に直面しており、目下の通貨政策の重点はインフレへの期待を高めることにある。だが今後は政策の実施における連続性に注目しなくてはならない。たとえば最近の日本の株式市場の調整からは、緩和政策が続くかどうかについて市場がまだ懸念を抱いていることがうかがえる。
▽量的緩和政策の2つの困難
安倍政権がうち出す経済政策「アベノミクス」の構想を踏まえれば、日本の実体経済は好転し、国内総生産(GDP)の名目成長率は上昇し、基準となる10年物国債の利回りは上昇することになる。だが日銀が国債の大規模な購入を続ければ、理論的には利回りは上昇せず、下降することになる。しかし現在、10年物国債の利回りは上昇しており、市場はアベノミクスの有効性に疑問を感じ始めている。
クレディ・スイス・グループAGのアジアエリアの陶東経済アナリストがこのほど指摘したところによると、日本政府は債務が積み上がっており、利息を支払うだけで精一杯だ。利回りがさらに上昇すれば、財政面での圧力が急激に増大することは避けられない。
陶氏によると、日本国債の利回りが1%上昇すれば、日本政府が支払う利息は10兆円増加することになる。為替レートと株式市場では短期間でそれなりの成果を挙げたものの、アベノミクスが経済の復興や金融の安定、財政の持続可能性にとって凶なのか、吉なのか、実際のところはまだわからない。
中国財政部(財務省)の朱光耀副部長が今月に入って述べたところによると、日本が15年にも及ぶデフレから脱却したいと望むなら、正しい選択は経済の構造調整を行うことであり、量的緩和という通貨政策では構造改革に取って代わることはできない。
また朱副部長によると、日本は長期にわたるゼロ金利の状況下で、2%というインフレ目標を達成するために、大規模な量的緩和政策を実施したが、これでは持続可能な経済のエネルギーは生み出されない。また量的緩和政策の波及効果により、周辺国は緊急の経済喚起プランをうち出して対応することを余儀なくされるという。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年5月30日