海外資本が中国から大規模撤退? (2)
同責任者がこのように述べる根拠は次の3点だ。第一に海外直接投資(FDI)と証券投資をめぐる国境を越えた資金の流入は増加を続けている。6月のFDI流入額は119億ドルで、前月比14%増加した。証券投資の外貨決済額は15億ドルで、前月の3.5倍に増えた。第二にFDIの引き上げ規模は低水準を保っている。今年上半期の引き上げ規模は35億ドルで、同17%減少した。第三に、外資系企業の投資利益の送金にみられる変化は緩やかなものだ。
複数の専門家によると、外資の大規模撤退はメディアが故意に作り上げ、中国投資のリスクを喧伝しようとした、という部分が大きい。復旦大学グローバル投資・貿易研究センターの袁堂軍主任の分析によると、日本は中国にとって2番目の外資由来国であり、中国に関する言論の多くは日本で発生したものだ。中国をやり玉に挙げた「チャイナリスク」という言葉さえあるという。
▽部分的に外資が撤退したのはなぜ?
「一部はコスト増のため、多くは一時的な調整のためで、大局に影響はない。ホットマネーが流出するのは悪いことではない」
取材により、確かに外資の一部が中国の政策調整やコスト増加を受けて他国に移っているが、投資や投機をめぐって行われた一時的な調整であるものが多く、中国の外資利用という大局には影響がないことがわかった。
これと同時に、外資の税金面での「超国民待遇」が徐々に取り消されており、このことが外資の中国への参入ハードルを目に見えない形で引き上げている。ある米国の情報技術(IT)企業の中国エリア税務総監が述べたところによると、中国には現在、外資に対する優遇がほとんどなく、「超国民待遇」は昔話だという。
外資の撤退は中国経済にどのような影響をもたらすだろうか。ある専門家は情況を踏まえて判断するべきであり、一律に悪いこととみなすべきではない。たとえばホットマネーの流出などは決して悪いことではないと話す。