レアアース紛争のWTO報告 日本の一方的公表は規定に沿わず (2)
■輸出割当拡大も
レアアースは重要な戦略資源だが、中国のレアアース利用の真の姿は長年にわたる無秩序な採掘、環境破壊、低価格輸出だ。レアアースの無秩序な採掘がもたらした環境汚染、市場の悪性競争がもたらした業界の混乱は誰の目にも明らかだ。
だが米国、EU、日本は中国の環境汚染を意に介していない。彼らがレアアースをめぐり中国を繰り返し非難するのは、彼らの望み通りに中国からレアアースを大量かつ安価に輸入したいからだ。これについて安泰科技のレアアース・アナリスト、陳家氏は取材に「中国の経済・環境発展上の必要とWTO規則の要求の間で、政策はまだ適切な着地点を見いだしていない。市場条件下では開放的発展が必要だが、優れた資源発展制度がなければ、レアアース市場の発展は難しい。政府主導でレアアース企業を合併・再編すれば、形を変えた統制と見なされるだろう」と指摘。「だが、WTOの判決が中国レアアース企業にとって大きな打撃となることはあり得ない。企業は利潤さえあれば、輸出に傾く。国が輸出割当を拡大すれば、輸出価格の下落を招くだろう」とつけ加えた。
対外経貿大学中国世界貿易機関研究院の屠新泉副院長も「たとえ輸出割当を拡大しても、中国レアアース産業への影響はない。国内のレアアース資源の保護には税制面などでの設計が必要だ」と指摘した。
また、今年初めに国務院はレアアース業界を含む9大重点業界の合併・再編について指導意見を発表した。「だが今回のWTOの判決が中国レアアース企業の合併・再編に影響を与えることはなく、対外利益の損失も深刻なものにはならない。国内企業は合併・再編の過程で問題が多く、今後2年間は難航が予想され、レアアース業界に大きな変化は起きがたい。この点こそもっと注目すべきだ」と陳氏は述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年11月1日