鳥取砂丘 自然遺産開発の知恵が凝縮 (2)
「馬の背」と呼ばれる大砂丘は、鳥取砂丘の最高峰だ。風は大自然の彫刻家で、砂丘には風によって生まれた筋が広がり、まるで無数のヘビが這った跡のようだ。この地の有名な景観には、風によって生まれる「風紋」がある。砂丘を形成する主な力は、秋と冬に吹く北西の風だ。
雨も砂丘の彫刻家だ。雨が降ったばかりだと、砂丘の表面が固まるため、歩きやすくなる。「馬の背」の西側の砂地では、砂の粒の大きさが異なるため、雨により魚の鱗のような「砂柱」が形成される。これも有名な景観だ。
鳥取砂丘は中国の大砂漠のスケールには及ばないが、砂漠のムードを味わいたい日本人のニーズを満たすことができる。入り口から砂丘を見ると、浜辺にしか見えない。しかし砂丘の中に入り周囲に目を向けると、すべての水平線が黄色で、あたかも大砂漠の中にいるような錯覚に陥る。これは毎年150万人がこの地を訪れる理由だろう。砂丘では駱駝と馬車が記念撮影用に提供されている。
鳥取県はこの砂丘を保護するため力を入れている。平井伸治県知事は、「中国の砂漠と異なり、鳥取県の降水量・降雪量は多く、草や木が生えやすい。世界各国は砂漠化を防ぐため植林に取り組んでいるが、毎年草を抜いて草原になるのを防がなければならないのは、鳥取砂丘だけだろう」と笑いを交えつつ語った。国立公園内で草木を抜くためには、環境省に特別な申請をする必要がある。鳥取県の県民・観光客・ボランティアは、草むしりに積極的に参加している。観光客に美しい砂丘を見せるために、毎年春と秋の2回に渡り大掃除を実施しなければならない。