ムルシ氏、大統領令を撤回 国民投票は実施へ エジプト
【カイロ=石合力】エジプトのムルシ大統領は8日、先月発表した自らの権限を強化する大統領令を撤回する新たな憲法宣言(暫定憲法)を発表した。新憲法案の是非を問う国民投票は予定通り15日に実施するが、否決された場合には、新たに起草委員会を選び直すことも決めた。
同日行われた一部野党勢力やイスラム主義者らとの協議を踏まえ、同協議に参加したイスラム系の前大統領候補アワ氏が会見で発表した。撤回した大統領令は、いかなる大統領令も司法判断の対象から除外し、大統領に全権を与える内容。新たな独裁につながるとして、内外から強い反発、懸念が出ていた。撤回はこの日の協議への参加を拒否したエルバラダイ前国際原子力機関事務局長ら世俗、リベラルの主要な野党勢力が求めていた内容で、ムルシ氏が大幅な譲歩に応じた形だ。ただ、エルバラダイ氏らは新憲法案の起草やり直し、国民投票の延期も求めており、今回の発表で事態が収拾するかはなお流動的だ。
asahi.com 2012年12月9日
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