山中さん「あっという間の一日」 家族と晩餐会に
ストックホルムで11日未明、晩餐会を終え、妻の知佳さん(左)と記者の質問に答える山中伸弥京大教授=池田良撮影 |
【ストックホルム=下司佳代子、須藤大輔】今年のノーベル賞の授賞式が10日夕(日本時間11日未明)、ストックホルムのコンサートホールで開かれ、京都大の山中伸弥教授(50)が家族らとともに出席、スウェーデン国王から医学生理学賞の賞状とメダルを受け取った。市庁舎ホールで開かれた晩餐(ばんさん)会にも参加。山中さんは「とっても長くてとっても充実した、本当に楽しい、あっという間の一日でした」と振り返った。
共同受賞した英ケンブリッジ大のジョン・ガードン教授(79)に続き、カール16世グスタフ国王から賞状とメダルを手渡された。家族席では、和服姿で臨んだ母美奈子さん(81)らが拍手を送った。壇上から見ていたという山中さんは「母親の顔を見て安心しました」と笑顔を見せた。
式が終わると、壇上では受賞者が家族らと記念撮影。妻の知佳さん(50)は「とてもとても至福のひとときでした」と話した。
晩餐会では山中さんはマデレーン王女をエスコートして入場。最近婚約した王女に祝福の言葉を述べた。
料理のメーンはキジ肉の赤ワインソースがけ。山中さんは、甘酸っぱいベリーソースのチーズケーキが気に入ったという。62のテーブルに1200人以上が座る広い会場では、合間にサーカスのパフォーマンスも。各賞の受賞者によるスピーチでは、代表してガードンさんが話し、IPS細胞(人工多能性幹細胞)を山中さんとともに開発した高橋和利・京大講師(35)の貢献をたたえた。高橋さんは「一生の思い出。あまりにすてきな経験なので、今後に生かせばいいのか、忘れた方がいいのか、迷っています」。
山中さん夫妻は食事後、国王夫妻に接見。他の受賞者や招待客らの握手や記念写真の求めにも、笑顔で応じていた。
行事をすべて終えた山中さんは「授賞式も終わり、ノーベル賞は私にとって過去形になる。これからの研究が本当に大切なので、一生懸命やっていきたい」と力強く語った。
asahi.com 2012年12月11日
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