ネット上で連載されている某文学作品の閲覧回数が延べ1千万回を超えたら、それを映画化しようとする会社もでてくる。通常ならば、紙版の書籍がまだ未出版のまま、映画・TVの著作権をめぐり、派手な価格競争がすでに繰り広げられる。つまり、無名の原作者が一夜にして大金持ちになるケースもあり得るということだ。事実、作品リメイクの前例があり、そこそこ知られている作家の場合、物語のあらすじを提示するだけで、その著作権を買うと申し出る人がすぐに出てくることもある。
このようなビジネス優先の産業チェーンにおいて、原作者の存在は往々にしてただ「名前」だけの存在に過ぎず、氏名表示権すら持たない場合もある。自分の作品に対する主導権などもってのほかだ。原作からのリメイクは、映画・TVへの投資・製作の新たな方向のようだが、過ぎたるは及ばざるがごとしで、今のところ国内ではそれが唯一の「ビジネスの正解」となっている。名前を売るか作品を売るかが、一つの問題となっている。多くの作品において、二次創作による深化や育成のための時間が全くなく、適当にクランクインして市場に出される、あるいは「とりあえず先に囲い込む」かのようにまずは著作権を買い取ってしまうというのが現状だ。
リメイク作品は、「あなたが観たい作品を私が撮りましょう」というスタンスではあるが、その出来栄えについては保証されない。例えば、多くの監督やプロデューサーが続々と「作品マネージャー」に転身し、微博(ウェイボー)などのSNSメディアでのPR、雰囲気作りや販売促進を上手に進め、ファンの興味を十分に惹きつけているが、作品の中身については、いささか力不足が感じられる。一部の作品に至っては、かなり低品質なものになっている。だが、リメイクという鎧に守られ、SNS上での十分な宣伝により、視聴者の取り込みに成功する。辛口批評の背後には眼に見える視聴率という存在があるが、投資側は資金の速やかな回収や価値上昇を期待している。この産業チェーンにおいて、最も重要な節目の一つである「原作者」は、逆に、最も「どうでもいい」役回りに甘んじるようになった。吉田氏のように、自分の作品を守るという堅い意思を持った作家は、一体どれだけいるのだろうか。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年1月16日
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