食堂車で乗客の料理を準備する炊事スタッフ
今年の「春運(旧正月前後の帰省・Uターンラッシュに伴う特別輸送体制)」がスタートした13日の午前9時、成都発北京西駅行T8号車が乗客1261人を載せてゆっくりと発車した。乗客と一緒に旅をするのは、米300キログラム、生肉40キログラム、野菜150キログラム、■県(■は卑へんにおおざと)豆板醤18キログラムだ。27時間に及ぶ道中、顧興科・料理長と炊事スタッフが、これらの食材を使って、使用できる空間がわずか数平米しかない車内厨房で四川料理を作り、故郷に向かう旅人たちの胃袋を満たしている。成都商報が伝えた。
ネイビーの布製カーテンをめくってみると、広さ20平米の車内厨房が目の前に現れた。シンクが左側に、電磁調理器が右側にあり、冷蔵庫はかまどの下にある。調味料が並んだ戸棚には、かまどに上ってやっと手が届く。このほか、レンジフード、蒸し器、炊飯器、電気湯沸かし器などの設備が、所狭しと並んでおり、調理作業のために残された空間はわずか数平方メートルしかない。顧料理長と炊事スタッフ4人は、この極めて狭い空間の中で、食材を洗い、切り、炒め、ご飯を炊く。乗客からの注文が入れば、いつでも料理に取り掛かることができるよう、24時間体制で勤務している。
顧料理長は車内での調理について、作業空間が非常に狭いということ以外の最大の特徴は、「運行中の車両の揺れ」だとしている。車内厨房の中では列車の運行中、上下の揺れが絶えず感じられ、注意していないとすぐに身体がぐらついてしまう。17年間列車で料理をしてきた経験を持つ顧料理長は、慣れた手つきでタケノコをなんと1ミリの薄さにスライスした。「最も大切なことは、両足をしっかり開いて八の字の形にして立つことだ。こうすればバランスが取れて安定して立つことができる」と彼は話した。
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