当然のことながら、すべての日本人が日本経済界のような楽観的な見方をしているわけではない。みずほフィナンシャルグループのアナリストは、「日本のPMIは上昇し、雇用情勢も改善されたが、設備投資は引き続き低迷している」と指摘する。
劉研究員も、「日本企業の設備投資の低迷傾向は企業の活力不足に現れている。日本全体の状況をみると、社会では高齢化が深刻化し、設備投資が増える可能性は小さい」との見方を示す。
劉研究員の指摘によれば、「設備投資が低迷し収益の可能性は限定的で、日本では産業を海外移転させて『空洞化』させることが企業が利益を伸ばすための最善の選択になっており、ここから日本が待ち望む設備投資や生産の高まりが非現実的なものであることがわかる」という。
▽復興ぶりをみるにはより多くの指標が必要
PMIの好転は日本経済が復興しつつあることを物語るのか。劉研究員は、「それほど単純に判断できない」とし、その理由として、「PMIの好転は周期的要因と季節的要因によるものにすぎず、底辺からのわずかな上昇でしかない。またPMIは日本経済の一部分を示しているにすぎない」ことを挙げる。
日本経済をよりよい状況にみせている要因のうち、米国大統領選挙でトランプ氏が当選したことが最大の転換点だ。劉研究員は、「トランプ氏が次期大統領に当選すると、円相場が大幅に下落し、16年全体での円上昇がもたらした圧力を基本的に緩和した。日本経済には繁栄の兆しがみえ、日経平均株価は一時は約1万9千円まで値上がりし16年12月30日の大納会の終値は1万9114.37円となり、年の納めの終値としては20年ぶりの高値を記録した。金融の角度からみると、トランプ氏という「ブラックスワン」の出現が16年第4四半期(10-12月)の日本経済の成長ペースを好転させ、『アベノミクス』は絶体絶命の状況の中で希望を見いだした」と指摘する。
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