ピーターソン国際経済研究所のゲイリー・ハフバウアー上級研究員は、「TPPはまだ発効していないが、米国の離脱にはシンボル的な意味合いがあり、米国とカナダやメキシコなどの貿易パートナーとの関係に重大な変化が起こるとみられる」と指摘する。
グッドマン上級アドバイザーは、「トランプ政権は多国間協定より二国間協定の方が米国の利益を保護することができると繰り返し強調してきた。ここからトランプ政権の貿易政策は米国のこれまでの貿易政策と全く異なったものになることがうかがえる。米国のTPP離脱は経済パートナーとして、また戦略的パートナーとしての米国の信頼性に極めて大きな損害を与えるものとなる」との見方を示す
▽今後、米国議会はどのような貿易政策を採用するか?
ホワイトハウスのスパイサー報道官は同日、「この大統領令への署名は米国の貿易政策が新たな時代に突入したことを示すものだ。トランプ政権は今後、米国の盟友やその他の国々と二国間貿易の機会を発掘していきたい」と述べた。
ホワイトハウスのサイトで明らかにされたトランプ政権の貿易戦略プランをみると、米国はTPPからの離脱後、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の推進に力を傾けるとしている。トランプ大統領もこれに先だって、「カナダとメキシコ両国の首脳と会談し、NAFTAの再交渉について話し合う」と述べている
ホワイトハウスがこのほど発表したところでは、今後は貿易をめぐる法執行(エンフォースメント)に力を入れるという。トランプ大統領も、「製造拠点を国外に移転させた米国企業には、高率の関税を課す」としている。
主要な経済学者は、「トランプ大統領の貿易政策は、特に国外で製造し米国市場で製品を販売する企業に対し(高い)関税をかけるといった恫喝的なやり方は米国の競争力を弱めるものであり、米国と他国との貿易摩擦を増大させる可能性もある。世界銀行や国際通貨基金(IMF)を含む国際機関はどこも、保護貿易主義の台頭などのリスクはグローバル経済の成長にとって脅威になるとの見方を示している」と述べる。
こうしたことから、TPP離脱は米国の貿易政策が国際協力から距離を置いたものになることを暗示していないか、未来のグローバル協力にどのような影響を与えるかといった点が、グローバル化時代の今、各国が特に関心を寄せる問題となっている。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年1月26日
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