中国では春節(旧正月、今年は1月28日)を新たな年として祝うが、日本では元旦を祝う。祝う日は異なるものの、どちらも、正月には語呂の良い縁起を担いだ食べ物を食べることで、その年の幸運を祈るという共通点がある。(文:徐航明。瞭望東方周刊掲載)
日本では、これらの縁起をかついだ食べ物を「縁起物」と称し、正月にそれを食べることで新たな年の幸運を祈る習慣がある。
日本では特に「縁起物」とされ、正月前にしか売られていない野菜がある。中国人には見当もつかないかもしれないが、その野菜とは「クワイ」。
中国から伝来したとされるクワイについて、中国・明の医師で本草学者の李時珍は、「クワイは1年で1本の根に12個の実がなる。その姿は慈愛溢れる母親が子供たちを養育する姿のようで、そのほろ苦さは生活を切り盛りする年長者の苦労のようだ」としている。筆者の記憶では子供の頃、春節になるとクワイと肉の炒め物がよく食卓に並んでいたのを覚えている。その独特のほろ苦さと肉の香りは、今も思い出すことができるほどだ。
しかし日本ではクワイに「苦味」という意味合いはなく、また普段の食卓に並ぶこともない。正月のおせち料理でしか食べることのない一品で、その作り方も皮をむいて、砂糖と塩を加えて炊くだけと、とてもシンプルだ。ただ、皮はむいても、芽は残しておかなければならない。なぜなら、芽が出ていることから「芽が出る」(仕事などで出世する)という語呂合わせの出世祈願として食べられるからだ。
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