招商証券の謝亜軒チーフマクロアナリストは、「3兆ドルは外貨準備高の最低ラインではない。外貨市場の構築、レートの市場化という角度から考えれば、プライベート部門は対外資産をより多く保有するべきであり、公共部門すなわち人民銀が保有する外貨準備高は緩やかに減少して、『国民が外貨を保有する』状態を実現することになる」との見方を示す。
▽外貨準備の減少幅は縮小する
同責任者は、「前年同期に比べ、今年1月の外貨準備高は872億ドル減少し、前月との比較では、288億ドル減少し、減少幅は明らかに縮まっている。為替レート切り上げという要因を考慮すると、外貨準備高の前年同月比減少幅および前月比減少幅はどちらもはっきりと縮小しており、ここから中国の国境を越えた資金流出が一時期より落ち着いていることがわかり、今後は中国の経済成長のエネルギーが徐々に強まるのにともなって、国境を越えた資金フローがより均衡を保つようになるものと予想される」と述べた
中国民生銀行の温彬チーフ研究員は、「今後数カ月間、外貨準備の減少幅は縮小を続けるとみられる。今年1月の外貨準備は主に2つの方面の影響を受けた。1つは、今年1月に米ドル指数が2.64%低下し、外貨準備の投資におけるユーロ資産や円資産の価値が増大したこと。もう1つは、人民元の対ドルレートが下げ止まって反発し、元安が一時的に逆転するとみられ、これに外貨の合規性の審査が強化されたことが加わり、外貨の決済・購入の逆転現象に好転の可能性があるとされたことだ」との見方を示す。
謝アナリストは、「1月の外貨準備高減少には3つの季節的要因の影響がある。個人の外貨購入の限度額制度が復活して外貨資産保有のニーズが高まったこと、春節の海外旅行で外貨購入ニーズが高まったこと、企業が債務返済期限を迎えて外貨資金が必要になったことだ。債権市場の開放など複数の要因を総合的に考慮すると、17年には中国の国境を越えた資本流出の規模は縮小し、外貨準備高の減少ペースは鈍化するだろう」と予測する。
華泰証券の李超チーフマクロ研究員は、「このたびの人民元の切り上げ幅は米ドル指数の低下幅には及ばず、人民元は17年も切り上げ圧力を受けるとみられる。米ドル指数が上昇の動きをみせれば、人民元の切り下げ調整のペースは切り上げ調整を上回るものになる」との見方を示す。
また李研究員は、「人民元の対ドルレートが双方向に変動し、変動幅が拡大していることは人民銀の目下の相場コントロールの方向性に合致している。これと同時に、外貨準備の持続的な減少は人民銀の金融政策を牽制することになり、国内の金融政策が安定・ニュートラル、マージナルという点で引き続き引き締め基調を取る状況は変わらず、国際収支の受け身の局面を転換させることになる」と強調した。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年2月9日
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