東京・麻布十番に塩だけを売る専門店がある。「マースヤー(塩屋)」という名前のその店では、400種類以上の塩が販売されている。行かないと同店のすごさは分からないが、実際に店内を訪れるとただただ驚かされる。同店では、「塩」がこれでもかというほど細分化されていた。「おにぎり用塩」、「ゆで卵用塩」、「天ぷら用塩」、「刺身(白身魚)用塩」、「刺身(赤身魚)用塩」、「パスタ用塩」、「麻婆豆腐用塩」、「白米用塩」といった具合だ。最も値段が高いのは、「牡蠣の塩」で、15グラム税別800円。この塩が高いのは、牡蠣の口から取り出した海水を煮詰めて作られていることによる。1トンの牡蠣からわずか4キログラムの塩しか取れないため、値が張るのだという。牡蠣の口から塩を取り出すという日本人のアイディアには本当に頭が下がる。
「牡蠣の塩」のほかにも、さまざまな珍しい塩が並んでいる。例えば、「減塩醤油」を煮詰めて作られた「醤油の塩」、炭火で作る製造プロセスで、塩を燻してできた「竹炭の塩」、満月の夜に汲み取った、満月のパワーあふれる「満月の塩」。このほか、沖縄伊江島で天日干しして作った「荒波の塩」、香川県で300年間続く伝統的な「入浜式の塩」、日本最西端にある与那国島の手作り塩「黒潮源流塩」、沖縄久米島の海洋深層水を100%使って取り出した、口当たりがまろやかで小さな子供にぴったりの「球美の塩」などがある。さらには、沖縄県宮古島の「雪塩」、海藻精華と海塩を混ぜ合わせてできた甘い口当たりの「瀬戸の粗藻塩」、美容効果がある塩、塩アイスクリームなど、ありとあらゆる珍しい塩製品が揃っている。
江戸幕府を開いた徳川家康が江戸城内に設けた大奥でのエピソードがある。「世界で最も美味しい食べ物は何か?」と家康が尋ねたところ、側室の阿茶局は、「この世で最も美味しいものは塩でございます。最もまずいものも、これまた塩でございます。最も美味しい塩でも、辛すぎると、食べたいと思う人はいないでしょう」と答えたという。日本人が驚くほど細かく塩を分類する様子は、日本人が一貫してきめ細かく、真面目な国民であることを示しているだけではなく、日本人の職人気質の現れでもあるといえよう。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年2月13日
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