なぜ、上記のような悪質なケースが見られるようになってしまっているのだろう?その根本的な原因は、外国人技能実習制度は主に日本社会の労働人口不足を補うためのものになってしまっており、同制度制定当初の「発展途上国から来た技能実習生へ技能などの移転を図り、国際協力・国際貢献を行う」という趣旨とはかけ離れていることにある。
日本の現行の外国人技能実習制度は1993年から実施され、その前身である「技能研修制度」と共に、その主な目的は、諸外国の青壮年労働者に産業上の技能などを修得し、帰国後の能力発揮により、発展途上国に技術の移転を行い、国際貢献することとなっている。
同制度では、技能実習生は一定期間研修を受けた後、企業と契約を交わし、働きながら技能を学ぶことができるとしている。同制度が実施され始めた90年代は、確かに発展途上国の経済発展の担い手となる人材の育成をサポートしていた。しかし、21世紀に入った今日、同制度では、技能実習生を受け入れる業界が未だに農業関係、建設関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係など、日本人が好まない労働密集型のきつい職業74職種に限定されているため、技能実習生は高い技能を学べないどころか、事実上、日本の労働者不足を補う人件費の安い労働者と化している。このように、同制度は当初の目的とはかけ離れ、技能実習生関連の保障制度や監督・管理のメカニズムも不健全な状態だ。
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