これと同時に、20年前に比べて、今や私立大学も国立大学も学費が2倍以上値上がりし、教育資金の準備や返済が世帯支出に占める割合は以前よりも大きくなった。このような状況の中、日本の学生たちは職業選択にあたってより注意深く慎重であることを迫られるようになった。
自分が冒険しないだけでなく、冒険しようとする企業も選択の対象からはずれる。
バブル時代に痛手を負った日本企業には1つの共通点がある。不動産業や金融産業など、自分たちの不慣れな分野に足を踏み入れたという点だ。本業に真面目にコツコツと取り組んだ企業は、バブル当時は資産を増やすことができなかったが、バブル崩壊後に困ることもなかった。
人も同じだ。若いときに選べたかもしれないチャンスよりも、老後の安定の方が大事だ。これは高齢者が自分の一生を振り返った時に到達しやすい結論であり、社会構成員の平均年齢が上昇を続ける中、こうした見方が幅広く社会の共通認識になっている。
毎年、情勢の変化にともない、大卒者の希望する就職先にも変化が生じているが、トヨタは永遠にトップクラスに居続ける。経営状態が順調で社員が十分な給料や報酬をもらえるということだけではなく、トヨタが「終身雇用」と「年功序列」を尊ぶため、社員が極めて強い安心感を抱いているということが背景にある。
昔からいる社員に安定した環境を与えることができなければ、若い人ががんばってもその意義が失われる。若い人たちの努力は自分たちのよりよい福祉を勝ち取るためであり、企業の発展に貢献することばかり考えていてはいけない。同じように若くはない社員に安心できる環境を提供できない企業は、健全な企業とはいえない。
企業の効率と社会の安定に矛盾が生じた場合は、社会の構成員にとって社会の安定がより重要になる。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年4月11日
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