東芝傘下の米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)のマーク・マラノ最高執行責任者(COO)は5月25日、WHについて、「東芝は、株式の売却手続きを今秋にも始める可能性がある」と明らかにした。WHは既に破産の手続きを開始している。
米アリゾナ州スコッツデールで開催された原子力エネルギー大会で、マラノCOOは、「東芝は過半を保有するWH株の売却を望んでいることを、かなり明白に市場に示唆してきた」と指摘した。東芝の網川智社長も、原子力エネルギープロジェクトで数十億ドルの損失を出した米国の子会社WHを売却する可能性に言及している。
今年3月29日、WHは米国で米連邦破産法11条の適用を申請した。当時、東芝は、「巨額の損失を出しており、今後もWHの経営を続けるのは難しいだろう」との見方を示していた。マラノCOOは、「破産法11条に基づく手続きはかなり進んでおり、東芝のWH売却のプロセスは今年秋に始まりそうだ。そうなれば、正式なプロセスを立ち上げて新しい所有者を探すことになるだろう」との見方を示した。
アナリストや専門家は、「WHの売却先候補は中国や韓国が考えられる。その理由は、この二ヶ国が現在、輸出できる原子炉の開発を進めているから」と予想している。その他、プライベート・エクイティ・ファンドも売却先の候補の一つだ。WHの再生計画が進む中、ベンチャーキャピタル・アポロ・グローバル・マネジメントは、WHの当面の資金を確保するため、計8億ドル( 約896億円)調達している。
経営再建中の東芝は、米国の原子力発電事業が大失敗となったため、大きな危機を迎えている。東芝は最近、2017年3月期の業績概要(概算値)を発表し、最終損益(米国会計基準) が9500億円の赤字となったと発表した。前期は4600億円の赤字で、さらに大幅に拡大となった。3月末時点の債務超過は5400億円の見通し。
WHは最近、北東部ニューハンプシャー州の原発部品工場で労働協約をめぐる交渉が不調に終わったため労働組合員172人のロックアウト(締め出し)を行った。労働組合側は、WHが提示した最終的な労働協約を拒否した。同社は、破産法の法的保護の下、再生計画を進めており、4月に労働組合と正式な交渉を行っていた。WHの核燃料・部品製造業のマイケル・デウィット・臨時シニア・バイス・プレジデント(SVP)は「労働組合が協約を受け入れないため、当社はロックアウトという難しい決断を下したとの声明を出している。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年5月26日
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