3月29日、米・原子力発電業大手ウェスティングハウス・エレクトリックカンパニー(WEC)が、米国連邦倒産法第11章(日本の民事再生法に当たる)に基づく再生手続きを申請したことを発表した。負債総額は98億1100万ドル(1ドルは約110.6円)。これに伴い、WECを傘下に収める東芝の2017年3月期の連結最終損益が最大で1兆1000億円の赤字となる可能性が発表された。日本国内製造業としては過去最大規模の赤字となる見通しだ。その多額の損失を埋め合わせるため、東芝は株主総会で稼ぎ頭の半導体メモリー事業売却を决定した。そのため、日本の社会では今、東芝がこの先どのように経営を続けていくのかに注目が集まっている。経済日報が報じた。
WECは原子力発電業大手で、世界で稼働している原子力発電所の20%以上がWECの設計・企画だ。21世紀に入り、地球環境保護のために、世界中で低炭素・排出量削減が大々的に提唱され、原子力発電が「エネルギー復興」の希望の星となってきた。東芝は世界の原子力発電市場で大きな勢力を誇り、06年には54億ドル(約6200億円)でWECを買収、重要な発展の方向性を定めた。そして、WECは08年、米国の原子炉4基のプロジェクトを受注した。しかし、11年に福島第一原子力発電所事故が発生して以降、原子力発電所の建設は全面的に減速し、耐震、耐津波などの安全基準が厳格化された。そして、工期が長くなったため、必要な資金が一気に増加し、大きな足かせとなり、継続が難しくなった。米国の法律は、「企業が倒産した場合、経営チームが再建計画を提出し、提出された再建計画はまず、各クラスにおいて、債権者数にして過半数かつ債権額にして3分の2以上の賛成により承認されなければならない」と定めている。また、親会社は子会社の経営連結対象から外れることになっている。
東芝にとって、最も良い計画は、債務保証を一括で支払い、長期に渡って赤字経営となるリスクから逃れることだ。しかし、連帯債務保証は巨額で、その支払い能力を大きく超えている。三井住友銀行やみずほ銀行などの東芝の主力行の催促の下、経営難から脱出するため、東芝は稼ぎ頭である半導体メモリー事業を分社化し、新会社を売却することを泣く泣く決定した。報道によると、3月29日に締め切られた入札には、米マイクロソフトや韓国のSKハイニックス、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業などが応札したと見られる。東芝は今後、鉄道システム、鉄道車両などの業務を頼りに食いつなぐとみられるものの、その規模は3分の1に縮小しそうだ。
WECの倒産は、日本の多国籍企業が急速に、盲目的に拡大を試みた結果を反映しており、世界の多国籍企業にとっては大きな教訓となっている。まず、戦略を間違うと企業を路頭に迷わせる結果になりかねない。東芝現社長の綱川智氏は、WECの買収について、「非常に問題のある判断だった。国際市場と相手企業の状況を十分に把握していない状況下で、無謀な投資をした。損益が巨額であるため、ミスをカバーできない」と話す。3月期決算の最終日となる31日の時点で、東芝は株主資本のマイナス幅が拡大し、6200億円の大幅な債務超過に陥ったため、今年8月から、東京証券取引所1部から2部に降格することになった。1年後に債務超過を解決できなかった場合、上場廃止のリスクさえある。
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