史実を否定する「右翼書籍」を客室内に置いたとして、日本のチェーンホテル「APA」グループが、中国人や韓国人の強烈な批判の的となり、同グループの行動を抑制しようという動きが起こった。だが、同グループの元谷外志雄CEOは2日、新刊書のPRイベントにおいて、「ホテルの客室から関連書籍を撤収しなければならないと思ったことは一度もない。2020年東京オリンピックの開催時まで、このような状態を続けることはあり得ない」と述べた。彼の発言をめぐる数々の報道では、彼が具体的にどの本のことを意味しているのか分らなかった。記者は4日、元谷CEOが言及していたのは、今年4月に出版された「【増補版】理論近現代史学」であることを突き止めた。環球時報が伝えた。
同書籍の冒頭には、3枚の写真が掲載されている。1枚目は「張作霖爆殺事件(皇姑村事件)」爆発現場の列車の画像、2枚目は、1932年の陥落前の南京で蒋介石の国府軍による漢奸狩り(親日派市民の虐殺)が行われていたことを示すポスターの画像、最後の1枚は、高額の報酬で「慰安婦」を募集する広告だ。同書は、「これら3枚の写真から、張作霖は関東軍に爆撃を受けて殺されたのではないこと、南京大虐殺は蒋介石らが自らの罪を隠すためにでっち上げたこと、『慰安婦』は強制的に召集されたのではないことが明確に分かる」と主張している。
「日本時報」の3日付報道によると、元谷CEOは新刊書において、いわゆる「南京大虐殺」は「ねつ造」であると公言、中国軍が南京で略奪と殺戮を行ったと自分のことは棚に上げて非難、「日本軍は、軍服を脱ぎ捨て、市民の衣服を盗み、弾薬や武器を携帯して難民キャンプに身を潜めていた普段着の兵士を探し出し、死刑に処したに過ぎない」と書いている。また、書籍を客室に置いたことでAPAホテルが中国人の批判の対象となり、排斥された経緯も、同書に盛り込まれている。
「理論近現代史学」は、元谷CEOが「藤誠志」のペンネームで執筆した評論シリーズ書籍であり、シリーズ第2弾が昨年6月に、完結版が今年4月に出版された。同シリーズ本は、月刊誌「アップルタウン」にて発表され続け、約7万部発行されている。いわゆる「真実の日本史」が、同シリーズ本のメインテーマであり、元谷CEOが主張するポイントでもある。元谷CEOは、「日本は強大でなければならず、汚点があってはならない。よって、南京大虐殺と慰安婦を否定し、東中国海(日本名・東シナ海)や南中国海(南シナ海)の問題に強い関心を持ち、米国と協力して中国を押さえつけることができる」と強調している。
同書は、その影響力を拡大するため、英語版も出版された。販売価格は800円。今のところ、同書は各APAホテルの全客室に置かれているという。(編集KM)
「人民網日本語版」2017年6月5日
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