日銀は昨年秋から「展望」の最後に「『物価安定の目標』に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う」と記している。今みると、これまでの金融緩和政策を維持することは、日銀が物価上昇の勢いを維持することに十分な自信があることを示すと考えられる。また別の見方によると、日銀が利用できる金融政策ツールはほぼ出尽くしたという。引き続きマイナス金利を強化すると金融機関の収益の可能性が一層圧迫され、さらには地方中小銀行の破産といった深刻な副作用をもたらすことも考えられ、国債買い入れ額も拡大の余地がなくなる。企業と市場は追加の金融措置にはなから希望を抱いていない。
日本の第一生命経済研究所の永濱利廣・首席エコノミストは日本経済を一隻の帆船にたとえて、「原油価格の値下がりに直面して、世界経済は発展の追い風が吹き前進しているが、米国経済の拡大周期が終われば、日本経済という帆船は転覆する可能性がある。ここから日本経済には成長の原動力が不足していることがうかがえる」と話す。
黒田総裁の任期は18年春に終わる。事実から明らかなように、2%の物価目標を任期中に達成するのは不可能性で、黒田総裁はこれについて外交辞令でよく使われる「遺憾に思う」という言葉で幕引きをはかった。分析によると、これほど早く先送りを発表したのは、一種の金融操作であり、日本の長期金利の引き下げを狙ってのことだ。欧米で金融政策が徐々に量的緩和からの撤退に向かう中、海外長期金利の上昇は日本に波及して円高をもたらす可能性があり、日銀の態度はこうした幻想を打ち砕こうとするものだという。また別の論評によると、黒田総裁が早々と先送りを発表したのは圧力を解消するためだ。年末に発表したなら、次期総裁選びの重要な時期にぶつかることになり、世論の圧力が黒田総裁の再任にとってマイナスになる可能性があるからだという。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年7月27日
このウェブサイトの著作権は人民日報社にあります。
掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。
Tel:日本(03)3449-8257
Mail:japan@people.cn