科学者は中国一級保護動物であるトキの個体群の変化の過程を明らかにした。この成果はこのほど、世界的な学術誌「カレントバイオロジー」に掲載された。新華社が伝えた。
論文の連絡著者、中国科学院昆明動物研究所研究員の張国捷氏によると、トキは世界で絶滅が危惧され保護が必要となっている鳥類の代表的な種であり、人工飼育で最も大きな成功を収めている種の一つでもある。1950-60年代には、野生のトキは絶滅したと考えられていた。80-90年代になり、研究者は秦嶺山脈で野生のトキを7羽発見し、生息域内保全及び人工繁殖を展開した。中国はその後、トキ国家級自然保護区を設立した。これらの努力によりトキの数は現在の2000羽余りに増加した。
トキの遺伝的多様性の歴史的な変化を明らかにするため、中国、スペイン、デンマークの科学者によるチームは、9つの博物館から57件の過去のトキのサンプル及び飼育エリア資源を入手し、トキの多様性の時間的な変化を研究した。
論文の筆頭著者、中国科学院大学の博士課程在学中の馮少鴻氏によると、博物館のサンプルは19世紀末から20世紀初頭のトキの主な分布エリアから得られたものだ。これらのサンプルの全ゲノムシーケンス解析データ、それから現在の飼育エリアにおけるトキの個体群のデータを結びつけることで、トキの数は約1万年前から減少を始めていたことが分かった。馮氏は「当時は暖かく、トキの生存に適した地域の気候的な制約が非常に少なかった。そのためトキは当時、人類の活動による影響を受けた可能性が高いと考えられる。トキが人類の影響を受け始めたのは数十年前とされていたが、それよりかなり古いことになる」と話した。
またチームは、現代のトキが過去の個体群の遺伝的多様性の半分近くを失っていることを明らかにした。長期的な近親交配により、明らかな近交弱勢が見られる。張氏は、トキの今後の飼育活動において、分子遺伝学をより良く結びつけ、遺伝的多様性を維持するよう提案した。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年2月12日
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