趙さんは、「まず、現代の女性は配偶者選択の基準がどんどん高くなっており、外見から性格まで、さらには能力や素養やライフスタイルまで、はては人生観、世界観、価値観の3観まで追い求める。ぴったり合った人を見つけるのは容易なことではなく、1つでも不満があれば結婚式場の鐘を鳴らすことはできない」と話す。
趙さんは続けて、「次に、これまでひたすら結婚を催促してきた両親たちが徐々に理性を取り戻した。不幸な結婚を数々見てきた両親は、当人に合わない結婚がもたらす不幸は結婚しないよりもはるかに大きいことを徐々に理解するようになった。こうして多くの両親が妥協して結婚しない、焦って結婚しないという子供の態度を理解・支持するようになった」と話す。
また女性が経済的にますます独立し、自分で不動産を賃貸や購入もできるようになり、結婚は経済的負担を軽減するための必然的な選択肢ではなくなった。これまで結婚の大きな目的は次世代を生み育てることだったが、今の政策の流れは結婚しなくとも合法的に子供を生み育てることを支持する方向へと徐々に向かっている。同時に、子供を育てて老後の面倒をみてもらうという考え方も変化し、子供も結婚と同様に必然ではなくなり、主体的な選択肢の1つになった。
離婚率の持続的上昇については、離婚に対して社会がますます寛容になり、我慢するくらいなら離婚したほうがマシという考え方が徐々に受け入れられてきたことが背景にある。
▽経済が発展するほど結婚率が低下
民政部のデータによると、結婚率には明らかな地域差がみられ、経済が発達した地域ほど結婚率が低下する。
18年には上海市と浙江省の結婚率が全国の省・自治区・直轄市で下位2位を占め、上海は4.4‰で最下位だった。
天津市、広東省、北京市などの発達した地域も結婚率が低かった。一方、結婚率が高かったのは西蔵(チベット)自治区、青海省、安徽省、貴州省などの発達レベルがやや低い地域だった。このうち貴州は18年の結婚率が11.1‰で上海の2.5倍だった。
全国の結婚率が5年連続で低下したとのデータが発表されると、各地の婚姻コストに関する議論が巻き起こった。
南開大学の人口学を専門とする李建民教授は、「結婚率低下と婚姻コストの増大は密接に関連している。特に大都市の不動産価格の高止まりにより、結婚は社会問題であるとともに、経済問題にもなっている。家を買い子供を産み育てるための生活コストの上昇を受けて、若い人々は気軽に結婚に踏み出せなくなった」との見方を示す。