高齢化社会の進展にともない、これまでとはひと味違う老後の送り方が徐々に人々の視野に入ってきた。報道によると、海外の老人ホームの多くは高い費用がかかり、大半の高齢者にはまかなえない。さらにここ数年は高齢人口が激増して、関連のサービス機関が追いつけない状況が続いている。家で老後を過ごそうと思っても、費用がかさむし、適当なヘルパーがなかなか見つからないなどの困難に直面する。合理的な価格で安心して老後を暮らすにはどうすればよいかは、欧米の多くの高齢者に共通の悩みだ。そこで一部の高齢者は独自の道を切り開き、これまでにない養老スタイルを見いだし、安心して晩年を過ごそうとしている。「北京晩報」が伝えた。
▽豪華客船に暮らす 老後を過ごしながら周遊観光も
豪華客船は観光客がゆったりした時間を過ごし、観光をするための快適なツールで、早くから高齢者に注目されてきた。2015年、欧州の雑誌記者が豪華客船「プリンセス号」のクルーズを体験した。夕食時に観察していると、80歳以上と思われる高齢の女性がレストランの入り口に近い席に座って一人で食事をしていた。船員やサービス担当者と非常に親しい様子で、全員と知り合いのようだった。そこでその記者は、この女性は客船で働く従業員の家族か友人なのだろうと考えたが、後に客船で老後の時間を過ごす長期利用客の一人であることが判明した。
同記者の調査によると、欧州の老人ホームは費用が非常に高い所が多く、入居すると1日あたり平均200ドル(1ドルは約111.1円)の費用がかかるが、プリンセス号に乗り、長期チケット割引きや高齢者割引きなどの優遇サービスを利用すれば、1日の費用は135ドルで済むという。
それだけではない。プリンセス号を選べば、高齢者は1日あたり65ドルを節約できるだけでなく、満足のいく心のこもったサービスを受けることができる。毎日10回の食事、デザート、夜食を選ぶことができ、自分で行けるならレストランで食べてもよいし、ルームサービスを頼んで部屋まで運んでもらうこともできる。船には3つのプール、スポーツジム、24時間風呂、無料の洗濯機と乾燥機があり、いつでも利用できる。1日5ドルのチップを出せば、サービス担当者が24時間切れ目なく様子を見に来てくれる。船には船医もいて、病気になっても心配はない。何よりもうれしいのは1週間か2週間ほど経つと新しい友人に出会えることで、おしゃべりしたり一緒にゲームをしたりする友人には事欠かない。夜になると毎日、本物のショーがあり、歌やダンスや雑技パフォーマンスなどが退屈を紛らわせてくれる上、老人ホームにいるよりはるかに楽しい時間を過ごせる。
米紙「USAトゥデイ」の調査でも、豪華客船が老後を過ごす場所としてなかなかよい場所であることが証明された。同紙の統計データによると、専門家によるサービスを提供する老人ホームの場合、17年の一月あたり平均費用は3750ドル。一方、12泊の南カリブ海クルーズの一般的価格は779ドル、一日あたり65ドルだ。高齢者2人で申し込めば、2人目は費用が半額になるほか、ポイント、高齢者割引き、クレジットカードのキャンペーンなどを利用すると、さらに価格は安くなる。