人間とAIが同じ土俵で勝負したら同時通訳者は失業? (2)

人民網日本語版 2019年07月03日10:23

英国バース大学同時通訳専攻の修士課程を修了後、艾さんは国内で9年間同時通訳として働いてきた。艾さんは最近、単細胞ゲノム学の会議通訳を務めた。語彙や背景が非常に専門的で、人間の同時通訳者であっても、何度も会議通訳をした経験がなければ質の高い通訳は提供できない。「もしAIにサポートされたコンピューター技術を使ったとしても、大量の原文と翻訳文の言語研究資料で通訳パターンに関するトレーニングをしなければならない。これには時間がかかる」と艾さんは言う。

EY大中華地区デジタル化コンサルティングサービスのパートナーである呉顕光さんはAI業界に注目して久しい。呉さんは、「要求が高くなく、間違いが許容される」通常の会議でなら同時通訳AIを使えるが、専門性や商業性の要求が高い会議では、現在のところ同時通訳AIと同時通訳者の差はまだかなり大きいと考えている。

AIはまだ十分賢くない

正確かつスピーディーに内容を訳出することは、人間の同時通訳者の得意とするところであり、同時通訳AIの必修科目でもある。しかし、同時通訳AIがさらに自己学習し、あと数年間「修練」する必要があることは、事実によって証明されている。

まず真っ先に攻撃される問題は、同時通訳AIがまだ十分に賢くはなく、「直訳」がすぎるという点だ。機械は文脈を理解するのが難しく、臨機応変能力にも乏しいため、「言外の意味をくみ取る」レベルに達することができない。通訳は文脈によるところが極めて大きい。「Apple」という単語が出て来た場合、アップル社のことなのか、食べられるリンゴのことなのかは文脈によってしか分からない。人間の同時通訳者なら容易に識別できるが、現在のところ同時通訳AIにとっては最大の難題となっている。

中国の「首席通訳官」と称えられる張璐さんは古い詩文の通訳で有名になったが、その類の通訳をさせると、同時通訳AIはしばしば笑い話になるような誤訳をしてしまう。

そして同時通訳AIの通訳の質は、発言者の言葉の明瞭さと標準さに左右される。同時通訳AI製品の効果を会議会場においてと会議後に録音音声で体験したことがあるが、明瞭で標準的な中国語であっても識別率は低かった。仮に講演者に訛りがあったとすると、同時通訳AIの識別能力に大きく影響してしまうことになる。

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